ネガポジ反転技法で生命の本質を描く 写真家・竹腰隼人さんの個展が名古屋で開催
江南市を拠点に活動する写真家、竹腰隼人さん(38)による写真展「寂として2」が、2月18日から24日までの期間、名古屋市中村区のジェイアール名古屋高島屋8階イベントスポットで開催されます。竹腰さんは独特のネガポジ反転技法を用いて作品を制作しており、この展示会では生命の印象を抽出した16点の作品が並びます。
現実を壊し、生命の印象を抽出する技法
ネガポジ反転とは、通常の写真画像の明暗や色調が反対になる技法です。例えば、白いサギが黒く描写され、暗い部分は白く、明るい部分は黒くなるという視覚的転換が起こります。竹腰さんはこの手法について、「カメラが捉えた現実を壊しても、生命から感じた印象はそこに残る。私自身の存在を示すもので、『命の印象』だけを抽出できることに気付いた」と語っています。
転機となった後天性てんかんとの闘い
竹腰さんの人生の転機は、約10年前に訪れました。営業職として自動車を運転中に意識を失い、後天性のてんかんと診断されたのです。「突然意識を失う私は記憶のない自己の存在を定義できず、何もかも疑わしく感じるようになった」と振り返ります。この経験が、自己表現としての写真制作への深い探求へとつながりました。
国内外で評価される水墨画のような作品
竹腰さんはもともと絵を描くことが好きで、会社勤めをしながら仲間内で写真展示会を開くなど、創作活動を続けてきました。2015年からは木々を主とする生命に目を向け、国内外のコンテストで入賞を重ねています。和紙に印刷する作品は水墨画のような趣きがあり、海外での評価も高まっています。
季節の反転が興趣をそそる展示作品
今回の展示会では16点の作品が並びます。雪が積もっているように見える「深沈と」や、紅葉のように見える「波立つを抑えて」など、いずれも初夏に撮影された作品です。この「季節の反転」が鑑賞者の興趣をそそります。竹腰さんは「自分という命を残したい。これからも自分探しの撮影を続けます」と意欲を語っています。
会場では作品の販売も行われ、薬が欠かせない生活を送る竹腰さんの「命の印象」を感じ取ることができます。この写真展は、技法と人生経験が融合した独自のアート世界を体験できる貴重な機会となるでしょう。