93歳祖母の1.2億円消失事件 「フジオカ」と名乗る男の巧妙な手口と高齢者狙う悪質商法の実態
93歳祖母の1.2億円消失 「フジオカ」名乗る男の手口

93歳祖母の資産1.2億円消失 「フジオカ」名乗る男の巧妙な手口

弁護士が金融機関に照会して入手した預金出金履歴には、衝撃的な事実が記録されていた。93歳の祖母が、判断力の低下につけ込まれ、毎日のように50万円ずつ(記録ではピンクのマーカーで強調)を引き出し、「フジオカ」と名乗る男に渡していたのだ。この事件では、祖母が所有していた東京都内のマンション4室を含む、総額1億2千万円を超える資産が消えていた。

コロナ禍の孤立につけ込まれた2021年秋の接触

事件の発端は、新型コロナウイルス感染症の流行で人々の孤立が深まっていた2021年秋にさかのぼる。「フジオカ」を名乗る男が、93歳祖母の自宅に現れた。祖母は夫に先立たれ、福岡市内で一人暮らしをしており、夫から相続した東京都内のマンション4室の賃料収入を生活の糧にしていた。

男はどのようにして祖母の資産情報を入手したのだろうか。彼は祖母のマンションの管理会社を名乗り、賃料を引き上げられるとして、水回りや風呂場の修繕工事を繰り返し提案してきた。難聴を患い会話に苦労する祖母は、足しげく訪れるフジオカに次第に心を許し、請求されるがままに工事費を支払うようになった。

表面化しなかった工事と水面下で進行した資産流出

しかし、支払われた多額の工事費に対して、実際に施工が行われたことを確認できる書類は祖母のもとに残っていなかった。さらに恐ろしいことに、水面下ではより大規模な資産の流出が進行していた。フジオカの真の狙いは、祖母が所有する4室のマンションと多額の預金そのものだった。

弁護士が入手した金融機関の記録によれば、祖母は毎日のように50万円ずつを引き出し、フジオカに手渡していた。このような組織的な資金移動は、高齢者の判断能力の低下を悪用した典型的な金融詐欺の手口である。

専門家が警告する高齢者を狙う契約トラブルの急増

この事件をきっかけに、高齢者を標的とした悪質な契約トラブルや消費者被害が増加している実態が浮き彫りになった。専門家は、孤独な高齢者が詐欺師の巧妙な話術にだまされやすい状況を指摘し、家族や周囲の注意深い見守りの重要性を強調している。

特に以下の点に注意が必要だと専門家は述べる:

  • 見知らぬ人物からの突然の訪問や電話による契約の勧誘
  • 高額な工事費や投資話を持ちかけられる場合
  • 金融資産の情報を不用意に他人に伝えないこと
  • 定期的な資産管理の確認と家族との情報共有

この事件は、高齢社会が進む日本において、社会的に孤立しがちな高齢者を守るための制度的な整備と、地域社会全体での見守り体制の強化が急務であることを示している。家族が祖母の異変に気づいた時には、既に巨額の資産が消失していたという事実は、私たちに重い課題を投げかけている。