障害者の生活や就労を支援する障害福祉サービスにおいて、運営事業者による公的な給付費(報酬)の不正受給が、2020年度から2024年度までの5年間に全国で約80億円に上ることが6日、明らかになった。厚生労働省のデータを共同通信が情報開示請求で入手した。不正受給などに伴う行政処分は同期間に936件に達し、不正受給額と処分件数の両方が増加傾向にある。特に2024年度は過去最多とみられる。
モラルの低い事業者の参入が浮き彫りに
不正受給の手口としては、利用者数を偽ったり、スタッフの配置基準違反を隠したりするケースが多い。厚労省のデータによると、不正受給額は2020年度の約14億2千万円から2024年度には約23億8千万円に増加し、5年間で約1.7倍に拡大した。こうした状況から、モラルの低い事業者が参入し、障害福祉制度が悪用されている実態が浮かび上がった。国や自治体には、実効性のある対策が求められそうだ。
サービス種類別の不正受給額
5年間の不正受給額をサービス種類別に見ると、障害児向けの放課後等デイサービスが約29億6千万円で最も多く、全体の約37%を占めた。次いで、職業訓練や生産活動を行う就労継続支援B型が約10億9千万円、グループホームが約9億9千万円と続いた。これらのサービスは需要が高く、事業者数も増加していることから、不正の温床になりやすいと指摘される。
行政処分の増加と今後の課題
行政処分は2020年度の約150件から2024年度には約250件に増加。厚労省は監視体制の強化や事業者への指導徹底を進めているが、不正受給の手口が巧妙化しており、さらなる対策が急務となっている。専門家は「事業者の選別や報酬体系の見直しなど、制度自体の改革も検討すべきだ」と指摘する。



