「子どもの権利」認めるとワガママになる?川崎市子ども夢パークで考える
「子どもの権利」認めるとワガママ?夢パークで考える

子どもの権利を保障する法律が施行されて3年。子どもの声に耳を傾ける大切さを感じる一方で、言いなりになることへの戸惑いもある。どう実践すればよいのか。育児中の記者が、全国初の条例に基づき作られた居場所「川崎市子ども夢パーク」(通称・夢パ)を訪れ、考えた。

「子どもの権利」とは

子どもが生まれながらに持つ人権を認め、保障する「子どもの権利条約」は1989年に国連で採択され、日本は1994年に批准した。2023年施行のこども基本法には、条約の基本原則として(1)差別の禁止(2)子どもの最善の利益(3)生命、生存および発達に対する権利(4)意見の尊重――が盛り込まれている。

夢パが目指す理念

4月上旬、まだ冷たい土を裸足で踏みしめ、夢中で泥団子を丸める子どもたち。ホースで水をまいたり、穴を掘ったり。1万平方メートルの敷地には手作りの遊具が並ぶ。学校や家庭に居場所を見いだせない子どもが通う「フリースペースえん」もあり、さまざまな背景の子どもたちが一緒に遊んでいた。

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川崎市は2000年に全国初の子どもの権利条例を制定し、翌年に施行。第27条「子どもには、ありのままの自分でいること、休息して自分を取り戻すこと、自由に遊び、活動することができる居場所が大切である」という理念を実現するため、2003年7月に夢パを開所した。構想段階から2000人以上の子どもたちの声を聞いた。運営は市の外郭団体と認定NPO法人「フリースペースたまりば」が担う。

「ここは子どもに任せる場所」

えんに登録し通う13歳の少女は「親に自分の意見を言うとキレられる。ここは素でいられて楽しい」と無邪気に笑う。

所長の友兼大輔さんは「夢パに来る全ての子どもたちが、誰かに大事にされたという経験を持ってほしい」と話す。子どもは時に危険な遊びをしたがるが、スタッフが入念に安全点検し「大丈夫の種」をまく。「自分で危ないと感じることが安全につながる」

5歳の息子が危ないことをしたがるという川崎市中原区の母親(41)は「ここは子どもに任せる場所だと知って来た」と話す。男の子はシャベルを手にわくわくしながら掘る場所を選んでいた。

言葉は広がるが誤解も根強い

夢パは、子どもの声を市政に反映する市子ども会議の会場にもなっている。参加者をサポートしてきた市こども未来局の円谷雪絵さんは「子どもの権利という言葉自体は広まっているが、今でも『権利を認めるとわがままになる』という誤解も根強い」と話す。「権利は自分の意見を通すためのツールではなく、誰もが生まれた時から持っているもの」

日本が子どもの権利条約を批准して30年以上が経ち、権利条例を定める自治体は増えている。2023年施行のこども基本法に沿って「こども大綱」を策定した国の動きも後押しした。NPO法人「子どもの権利条約総合研究所」(東京都目黒区)によると、条例を制定したのは93自治体。地域や家庭で理念をいかに実践するかが問われている。

相互尊重が重要

友兼さんは「相互尊重が大事。夢パでも何でもしていいわけではなく、仲間を尊重した上で自由が成り立つ」と指摘する。「子どもが特別というわけではなく、おじいさんにだって育つ権利はある。子どもも大人も社会を構成するパートナーだから」

夢パには、市の条例作りに関わった子どもたちが紡いだ大人へのメッセージが掲げられている。「まず、おとなが幸せにいてください。おとなが幸せじゃないのにこどもだけ幸せにはなれません。」

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