福島県いわき市久之浜町末続のJR末続(すえつぎ)駅は来年、開設80周年を迎える。地域住民の意向で開設され、無人駅となった現在は住民が協力して管理するなど、地域の支えで存続する駅だ。住民たちは開設80周年に向けてにぎわいを創出しようと、26日に「末続駅マルシェ」を開催する。
「末永く花と緑と青き海が続く駅」
駅をPRするため、住民らが名付けたフレーズがある。その言葉通り、駅周辺には広大な太平洋が広がり、色とりどりの花が咲き誇る。普段の利用客は多くないが、美しい風景は評判を呼び、休日には駅を目当てに訪れる観光客もいるという。
戦時中に信号所として開設、住民の熱意で駅へ昇格
駅はさまざまな歴史をたどってきた。戦時中の1944年に信号所として開設。終戦後に不要となり廃止される予定だったが、住民たちが駅への昇格を熱望し、それが実現した。ただし条件は厳しく、「一般資材は国鉄(当時)が調達し、地元住民で駅舎を建設する」ことだった。住民約3000人が建設に協力し、木材は末続の共有林を伐採したものを使うなど、「地域の力」を結集した。
駅は1947年に完成。1993年に完全無人駅となり、現在はJR東日本と住民が協力して管理している。駅周辺の花は地区の老人会が手入れしており、この時期は鮮やかなツツジが咲き誇る。
震災を乗り越え、駅マルシェで交流促進
東日本大震災が発生した際には津波が駅近くまで押し寄せた。また常磐線は末続駅を含む久ノ浜―広野間で半年以上不通となった。
駅のことをさらに知ってもらい、地域内外の人が交流する場をつくろうと、3年前に駅マルシェが始まった。開催はツツジが咲く毎年4月の最終日曜日。今年は午前10時から午後3時までで、フリーマーケットやキッチンカーの出店に加え、ホームの待合室に設置予定のふたば未来学園中・高生が制作した末続の風景画のお披露目もある。
北海道・三陸沖後発地震注意情報発令中の開催となるため、「地震が起きた際は、避難所となっている近くの集会所に誘導するようにしている」とマルシェ実行委員会の岡森綾子さん(58)は話す。その上で「駅が交流拠点として100年を超えても人が集まるような場所になってほしい」と願った。
クラウドファンディングで資金募集
マルシェ実行委員会は来年の駅開設80周年を盛り上げるため、クラウドファンディングを実施している。募った資金は駅で今後開催するイベントなどに使用される予定だ。



