「経済の武器化」進む世界、日本の取るべき道は 鈴木一人教授に聞く
「経済の武器化」進む世界、日本の取るべき道は 鈴木一人教授

インタビュー「経済の武器化」進む世界、日本の取るべき道は 鈴木一人教授に聞く

2026年4月26日 11時00分 有料記事 鈴木春香 相原亮

国家安全保障戦略(NSS)など、政府が今年改定する安保関連3文書では、従来の安全保障政策に加え、経済安全保障が主要な論点の一つとなっている。政府は改定に向け、27日に有識者会議の初会合を開く。会議のメンバーで、経済安保政策に詳しい鈴木一人・東大公共政策大学院教授(国際政治学)に論点を聞いた。

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「経済の武器化」が常態化

――現在の国家安全保障戦略(NSS)が策定されたのは4年前。この間の国際情勢の変化をどう見るか。

「経済の武器化」が一層進展したことが、一つの大きな特徴だろう。米国の「トランプ関税」もそうだが、経済が他国に対する威圧の手段として使われるようになった。現在の中東情勢でも、イランがホルムズ海峡を封鎖している。サプライチェーン(供給網)を寸断することでダメージを与える狙いで、そうした戦い方がある意味で常態化している。経済安全保障が、国の安全保障戦略全体の中で欠かせないものとなったと言える。

日本の「守り」の経済安保

――日本の経済安保政策をどう見ているか。

日本は食料やエネルギーなど多くを自給できず、他国への否定しがたい依存性がある。中国など特定の国への依存を避け、調達先の多角化を進めようとする「守り」の経済安保を中心に進めてきた。一方で米国は、中国への半導体輸出規制など「攻め」の経済安保政策をとっている。それぞれの国の安全保障の考え方が反映されている。

国際情勢の変化への対応

――国際情勢の変化にどう対応すべきか。

日本が単独で変化に対応するのは難しい。同盟国や同志国との連携が不可欠だ。特に、サプライチェーンの強靱化や重要技術の保護では、米国やオーストラリア、インドなどと協調する必要がある。また、経済的威圧を受けた場合の対抗手段として、報復関税や輸出規制などの法的枠組みを整備することも検討すべきだ。

――有識者会議で特に議論すべき点は何か。

まず、経済安全保障の概念を明確にする必要がある。従来の国家安全保障との関係、民間企業との役割分担、情報公開の範囲など、多くの論点がある。また、経済安保政策が貿易や投資に与える影響も考慮しなければならない。過度な規制は経済活動を萎縮させる恐れがあるため、バランスが重要だ。

――最後に、日本の取るべき道は。

日本は「守り」から「攻め」への転換を図るべきだ。単に依存を減らすだけでなく、戦略的な輸出管理や技術優位の確保を通じて、国際的なルール形成に積極的に関与する必要がある。そのためには、産官学の連携強化と、人材育成が急務だ。

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