DV加害者扱いで男性が提訴 佐賀・白石町が謝罪と和解、支援措置の適切性が焦点に
佐賀県白石町がドメスティックバイオレンス(DV)加害者と不当に扱われたとして、神奈川県在住の50代男性が横浜地裁に提訴していた問題で、町が男性の名誉を傷つけ親権者としての権利行使を困難にしたことを認め、謝罪する内容で昨年和解していたことが21日、明らかになった。警察は当初から支援の必要性を認めていなかったにもかかわらず、町は独自の判断で措置を講じていた。
事件の経緯と和解内容
町によると、2019年10月に男性の妻から「DV被害を受けた」とする申請書が提出され、町はこれを受けて配偶者暴力防止法に基づく支援措置を実施した。この措置は、加害者からの住民票の写しなどの請求を制限し、被害者の住所を秘匿するものだ。しかし、男性は2022年3月に横浜地裁に提訴し、町の対応が不当であると主張した。
裁判では、町が講じた支援措置が適切だったかどうかが主な争点となり、昨年3月に和解が成立。和解内容には、町が男性の名誉を毀損し、親権者としての権利行使を妨げたことを認める文言が盛り込まれ、町側が正式に謝罪した。男性側の主張が認められる形で決着を見た。
支援措置の仕組みと問題点
この支援措置は、配偶者からの暴力やストーカー行為、児童虐待の被害者を保護することを目的としており、市区町村が被害者の申し立てを受け、警察や児童相談所などの意見を参考に必要性を判断する。しかし、今回のケースでは、警察が支援の必要性を認めていなかったことが判明しており、町の判断の妥当性が疑問視される結果となった。
町の担当者は取材に対し、「当時の担当者が妻と十分に話し合った上で措置を決定した。支援措措置の実施に当たっては、今後も慎重に対応していきたい」と説明した。この発言は、過去の対応を反省しつつ、今後の改善を約束するものと受け取れる。
社会的影響と今後の課題
この事件は、DV被害者保護のための制度が、時として誤った適用により無実の者を傷つける可能性があることを浮き彫りにした。支援措置は重要なセーフティネットだが、その実施には客観的な証拠や関係機関との連携が不可欠だ。警察の意見を軽視した町の判断が、男性に深刻な精神的苦痛と社会的損害を与えたことは否定できない。
今後、自治体が同様の措置を講じる際には、より厳格な審査プロセスと透明性の確保が求められる。被害者保護と加害者とされる者の権利保護のバランスをどう取るか、この和解はその難しさを社会に投げかける事例となった。



