刑事裁判の再審制度見直しに向けた刑事訴訟法改正案が26日、衆院本会議で審議入りした。高市早苗首相は「再審無罪判決の確定までに長期間を要し、当事者に大きな負担を生じる事態となった事件があることを真摯に受け止める」と述べ、「反省のもとに改善を行っていく必要がある」との認識を示した。
首相の認識と法案の骨子
今回の見直しの出発点が、再審無罪事件を踏まえた「反省」にあることを明確にした首相は、「制度を大きく前進させるものだ」と強調した。しかし、今後の国会審議では実効性が問われることになる。
現行法には再審手続きに関する規定が乏しく、有罪確定裁判で提出されなかった証拠の開示に長期間を要するなど、多くの課題が指摘されてきた。政府法案では、再審請求理由に関連する証拠について提出命令制度が新設された。ただし、裁判所が検察に命令を出せるのは、①再審請求理由との関連性、②開示の必要性、③開示に伴う弊害を考慮し、相当と判断した場合に限られる。
野党から懸念の声
中道改革連合の平林晃氏は、対象範囲が限られ「冤罪被害者の救済につながらないのでは」と指摘。国民民主党の小竹凱氏は「裁判所が消極的なら十分機能しない恐れがある」と懸念を示した。これに対し首相は、提出命令の対象となる証拠の範囲は「相当の広がりを持つ」と説明し、「審理に必要かつ十分な証拠が裁判所に提出される」と述べた。
検察抗告の厳格化
政府法案では、再審開始決定に対する検察の不服申し立て(抗告)の要件も厳格化。高裁への即時抗告を認める現行法の規定を削除し、再審開始決定が取り消されるべきものと認めるに足りる「十分な根拠」がある場合に限り、即時抗告できる仕組みにした。
首相は「より慎重で抑制的な運用が確保される」と強調。抗告の要件となる「十分な根拠」について、「再審開始決定が取り消される蓋然性が高いことを裏づける合理的な根拠」が必要になると説明し、「軽微な証拠評価や事実認定の誤りがあるだけでは足りない」とした。
野党対案との並行審議
中道改革連合など野党3党が提出した対案も同日審議入りし、政府法案と並行で審議される。対案には、政府法案より幅広い証拠開示を可能とする規定や、再審開始決定に対する検察抗告の禁止などを盛り込んでいる。
今後の国会審議では、政府案と対案の違いが焦点となり、再審制度の実効性を高めるための議論が行われる見通しだ。



