神奈川県川崎市で、知的障がいのあるアーティストたちが、日本画家・露木惠子さん(83)の家族から託された色紙の裏面に絵を描き、作品を完成させた。このユニークなコラボレーションの成果を披露する展覧会が、5月15日から18日まで、川崎市中原区のコスギアイハグウェルネスリビング棟1階にあるギャラリースペース「gallery FLAT」で開催される。
日本画家・露木惠子さんの遺した色紙に新たな命
露木さんは東京都出身で、東京芸術大学を卒業後、同大学院を修了。宇都宮大学助教授などを経て、1996年に同大学教授に就任した。日本美術院展覧会(院展)を中心に活躍する一方、全国の福祉施設に作品を寄贈してきた。「自分の絵をあの世まで持っていくことはできない。何らかのお役に立てばいい」というのが口癖だった。
2008年に同大学を定年退職後は、主に色紙などの小品を制作していたが、現在は高齢のため絵筆を取ることが難しく、介護施設で生活している。露木さんの家族は、東京都大田区の自宅兼アトリエを整理するにあたり、早稲田大学美術史学研究室に協力を依頼。NPO法人「studio FLAT」理事長の大平暁さん(54)は、親交のあった同研究室から「使えそうな画材があれば持っていってほしい」と声をかけられ、3月中旬に露木さん宅を訪問した。大量に残されていた色紙についても「捨てるのはもったいない。下地を塗れば再利用できる」と300枚ほど譲り受けた。
障がい者アーティストによる新たな表現
NPO法人「studio FLAT」は、川崎市中原区と幸区の生活介護事業所で、20~30代の所属アーティスト約20人が活動している。展覧会では、各アーティストが2~3点ずつ、合計約70点を出品。色紙の表面には露木さんが描いた花や草木がそのまま残され、裏面にはアーティストたちが色鮮やかな模様や動植物、独自のキャラクターを表現した。
花火を題材にした前田更紗さん(20)は「自分で想像した。苦労しなかった」と話す。若林春名さん(20)は「花のレイアウトにこだわった。うまくいきました」と笑顔を見せた。
大平さんは「露木さんとアーティストの『ダブルネーム』の作品。本物の日本画からインスピレーションを得て、今までとは違う表現ができた」と話す。また、「全国的にもあまり例のない試み。障がいのある人たちのアート作品の価値を感じてもらえれば」と力を込める。
展覧会詳細
展覧会の会場は、川崎市中原区のコスギアイハグウェルネスリビング棟1階「gallery FLAT」。入場には事前予約が必要。問い合わせはNPO本部(電話044-819-9064)まで。



