秋田県八郎潟町議会は8日、臨時会を開き、畠山菊夫町長(72)に対する不信任決議案を全会一致で可決する。議会と首長が対立し、「ノー」を突きつけるわけではない。畠山町長は病気で意識不明の状態が続いており、自ら辞職の意思を示せないなか、苦渋の判断だった。
町長、公務中に救急搬送 公務離れて3カ月
町によると、畠山町長は2月6日、公務中に体調不良を訴え、救急搬送された。脳出血と診断され、緊急手術を受けたが、いまも意識が戻っていない。町長の入院後、副町長が職務代理者を務めている。
秋田県八郎潟町の畠山菊夫町長=2016年
そんななか、畠山町長の妻から柳田裕平議長宛てに要請書が届く。4月20日付で、早期に意識が十分に回復するのは困難と医師から伝えられたと説明。公務を離れて3カ月近く経つこと、回復しても町長の重責を担う健康状態を維持するのは難しいことを挙げ、「これ以上、町政運営に迷惑をかけることは決して本人の本意ではないと考え、家族、妻としては町長の職を辞すのが最善であると判断した」として、処遇を議会に一任するとあった。
代理の辞職届は「無効」 異例の決議案「出したくなかった」
首長が退職しようとするときは議長に申し出なければならない、と地方自治法は定める。町が総務省や全国町村会に問い合わせたところ、首長の家族が代理で辞職願を出しても法律的に無効であるとの見解を得た。
あらたな町のリーダーを早急に決めるには、町長の不信任しかない――。対応を迫られた議会は悩んだ末、異例の決議案提出を決めた。柳田議長は「対立したわけではないので、本来は出したくなかった。ただ、法律で決まっていることなので、町民に迷惑がかからないよう、この方向で進むことにした」と話した。
辞職の意思表示ができない…総務省の見解は
不信任決議が可決された町長は、地方自治法の規定により、10日以内に議会を解散するか、失職するかを選ばなければならない。しかし、意識不明の畠山町長にはその判断ができない。このため、議会は可決後、町長が失職するのを待つことになる。失職後は、副町長が職務代理を続け、50日以内に町長選挙が行われる見通しだ。
今回のケースは、法律が想定していない事態であり、総務省も「前例がない」としている。地方自治の現場で、首長の長期不在という想定外の事態に、議会は苦渋の選択を迫られた。



