2016年4月の熊本地震発生時に、熊本県宇城市の危機管理課長として現場対応の指揮を執った蔵原正敏さん(65)が23日、鹿児島大学で学生を対象に講義を行った。蔵原さんは、避難所で被災者に提供する食事の確保に追われた当時の苦労を詳細に語り、強い余震が続く中で不安を抱えながら対応に当たった経験を振り返った。その上で、「冷静な判断ができていなかったことも多かった。地震は全国どこでも起こり得る。ぜひ冷静な対応を心がけてほしい」と学生たちに強く訴えかけた。
避難所運営の実態と課題
蔵原さんの説明によると、宇城市では地震発生後、避難所に身を寄せた被災者が一時1万人を超える規模に達した。市が事前に備蓄していた非常食だけでは到底対応しきれない事態に直面した。さらに、災害時協定を結んでいた地元スーパーも被災し、物資の調達が困難を極めた。蔵原さんは「パン工場など外部の業者に必死で連絡を取り、何とか被災者に食事を提供してもらった」と当時の状況を説明した。
教訓と今後の備え
蔵原さんは講義の最後に、熊本地震で得た教訓を基に、学生たちに日頃からの備えの重要性を強調した。具体的には、自治体や企業との連携強化、物資の多様な調達ルートの確保、そして何より自身の冷静な判断力を養うことの大切さを説いた。参加した学生からは「実際の体験談を聞き、防災意識が高まった」との声が上がった。



