JR北海道の上下分離案に沿線自治体が反発 「タマネギ輸送の役割も」と存続求める声
JR北の上下分離案に自治体反発 タマネギ輸送の役割も (15.04.2026)

JR北海道の上下分離案に沿線自治体が反発 財政負担と存続の狭間で

JR北海道は2026年4月15日、慢性的な赤字に苦しむ「黄色線区」8路線の存続策として、沿線自治体などが鉄道資産を保有する「上下分離」案を正式に発表した。しかし、新たな財政負担を求められる自治体からは厳しい反発の声が相次いでおり、地域の生活と経済を支える鉄路の将来をめぐる議論が正念場を迎えている。

148億円の営業赤字 10年間の改善努力も実らず

黄色線区に指定されている釧網線や石北線など8路線の2024年度収支は、営業収益27億円に対し、営業費用が174億円に達し、営業赤字は148億円にのぼる。JR北海道の綿貫泰之社長は記者会見で「収支は依然として厳しい状態が続いており、単独で抱え続けることは困難」と述べ、抜本的な対策の必要性を強調した。

上下分離案は、JR北海道が従来担ってきた車両や線路などの鉄道資産の保有を、沿線自治体などが設立する法人に移管する構想だ。これにより維持管理費用の削減を図る一方、資産保有に伴う固定資産税の負担は自治体側に移ることになる。

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「タマネギを運ぶ大動脈」 地域経済への影響懸念

沿線自治体からは早くも反対の声が上がっている。根室市の石垣雅敏市長は「各自治体は人・モノ・金のすべてで厳しい状況が続く。新たな負担には整理すべき課題が多い」と指摘。富良野市の北猛俊市長は「経済的な負担は認められない」と明確に反対の姿勢を示した。

特に注目されるのは、根室線がタマネギなどの農産物輸送や観光客輸送の「大動脈」として地域経済を支えている点だ。北猛俊市長は「JRが経営改善を行い、それでも赤字の部分は国が支援する形で存続するしかない」と述べ、国による支援の必要性を訴えた。

国交省の期限まで残り1年 多様な選択肢を協議

JR北海道は既に沿線51市町村への説明を開始しており、今後は具体的な協議に入る予定だ。協議では以下の方策が主題となる見込みだ。

  • 上下分離案の詳細な検討
  • 駅などの鉄道資産を自治体に譲渡し固定資産税負担を軽減
  • 踏切除雪や駅業務の自治体への移管による担い手確保
  • 利用状況に応じたダイヤの見直し

国土交通省が求める存続策の報告期限は2027年度末まで残り約1年。JR北海道は9月末までに中間報告を提出したい意向を示している。

積雪と人口減の二重苦 歴史的な経営課題

JR北海道は1987年の国鉄分割民営化時から、年間数百億円の赤字が見込まれる前提で発足した。6800億円の経営安定基金で赤字を穴埋めする計画だったが、長大な路線網と厳しい積雪条件に伴う維持管理コスト、航空機や自動車との競争、そして人口減少が重なり、慢性的な赤字から脱却できていない。

2016年には輸送密度が1日1キロあたり2千人未満の赤字13区間について、特に利用者の少ない「赤線区」は廃止・バス転換を進め、黄色線区は存続を前提に上下分離を含む検討を始める意向を示した。しかし、利用促進やコスト削減による改善を優先したため、上下分離の具体的な議論は進まず、コロナ禍もあって対策は先送りされてきた。

綿貫社長は「10年間、利用促進を含めて努力してきたが、収支は改善していない。前に進めなければならない」と述べ、今回の提案に至った経緯を説明している。

地域の交通網を維持する責任と財政的負担のバランスをどう取るか。黄色線区の存続をめぐる議論は、単なる鉄道経営の問題を超え、地方自治体の財政状況や地域経済の未来にも深く関わる重要な課題として注目を集めている。

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