障害・病気・ひきこもり「親なきあと」の不安、同じ境遇の行政書士が無料相談窓口
「親なきあと」無料相談窓口、同じ境遇の行政書士が開設

障害や病気、ひきこもり状態の子どもを持つ親の多くは、自分たちがいなくなった後の子どもの生活に大きな不安を抱えている。知的障害のある子どもを育てる行政書士の渡部伸さん(65)は2014年、そうした親たちを支援するため、無料の相談窓口「『親なきあと』相談室」を開設した。

「気がかり」の段階から対応

昨年11月に開かれた個別相談会では、関東地方に住む60歳代の夫婦が「どちらかがこの世を去った時に備え、相続の準備を始めたい」と相談に訪れた。夫婦には重い知的障害がある次女(27)がおり、日常の世話や住まいのことは最優先に考えてきたが、財産や金銭管理に対する不安が募っていた。渡部さんは信託制度の活用などを助言し、「長女と話し合っておくことも大切」と伝えた。夫婦はホッとした表情で席を立ったという。

渡部さんは「ケアラーの悩みは多種多様だ。『問題』になる前の『気がかり』の段階から対応し、相談者の不安解消につなげたい」と語る。

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「ないならば自分が」と開設

渡部さんは約30年勤めた出版社を早期退職し、行政書士の資格を取得した。そのタイミングで、障害のある子どもを持つ親として「親なきあと」の問題に行き着いた。重度の知的障害がある次女(33)は当時20歳前後で、「自分や妻がいなくなったら次女はどうなるのか」と不安に思っていたが、特に準備は始めていなかった。

調べてみると、親の死後を支える支援やサービスは少なからず存在したが、十分に周知されていなかった。「必要な情報を分かりやすく届け、適切な支援につなぐ窓口があれば便利。ないならば自分で作ってしまおう」と考え、行政書士の資格取得と同時に相談室の看板を掲げた。

年間200件の相談に対応

相談室では、相談者の状況を丁寧に聞き取り、今後するべきことを整理する。住まいのある自治体に応じて利用できる支援や相談先を提案する。渡部さんは「親やきょうだいがずっと関わっていくことはできない。継続的に支えてもらえる環境を整えることが大切」と強調する。

相談者は様々で、きょうだいやひきこもりの子を持つ親からの問い合わせも多い。障害者本人が訪ねてくることもある。対面やメール、オンラインなどで受け付ける相談は年々増え、現在は年間200件ほどにのぼる。

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