最高裁判所は5日、既婚女性から「離婚する」と告げられて肉体関係を持った男性が、女性の夫に対して不倫の慰謝料を支払う義務を負うかどうかが争われた訴訟の上告審判決を言い渡した。第2小法廷(尾島明裁判長)は、「夫婦関係の破綻を信じる相当の理由があれば、慰謝料を支払う義務はない」との初判断を示し、支払いを命じた2審・高松高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻した。
事件の経緯
2審判決(2025年2月)などによると、男性は自身が雇用していた女性から夫婦仲の相談を受け、一部が記入された離婚届を見せられるなどした後、女性と肉体関係を持った。その後、女性と夫は離婚した。
2審判決の判断
2審判決は、「離婚したなどとうそを言って不倫に及ぶ者が多いことは世に知られており、その言葉をうのみにするのは注意が足りない」として男性の過失を認定。慰謝料55万円の支払いを命じていた。
最高裁の判断
これに対し、最高裁第2小法廷は「男性が、夫婦関係の破綻を信じる理由があったとみる余地はある」と指摘。夫婦関係の破綻をうかがわせる事情を十分に検討しないまま、男性の過失を認めた2審の判断は誤りだとし、審理を高松高裁に差し戻した。
本判決は、不倫慰謝料の支払い義務に関する新たな判断基準を示すものとして注目される。



