セクハラ辞職の福井県前知事、退職金6000万円のうち1000万円返還意向 県議会からは厳しい批判
セクハラ辞職知事、退職金6000万円から1000万円返還意向

セクハラ問題で辞職の福井県前知事、退職金の一部返還意向に県議会から厳しい声

福井県は16日、県議会全員協議会において、セクハラ問題で辞職した前知事・杉本達治氏の再発防止策を提示した。その中で、杉本氏が受け取った退職金約6000万円のうち1000万円を返還する意向を示していることが明らかになった。しかし、県議からは「全額返納でないのは残念」など厳しい批判の声が上がっている。

ハラスメント防止条例案と組織風土の改善を前面に

県が示した再発防止策は、調査報告書で指摘された組織風土の改善を重視した内容となっている。鷲頭美央副知事は「ハラスメント防止条例の制定によって、徹底してハラスメントを起こさせない、見逃さない、繰り返さない意思を強く明示する」と強調した。

具体的な対策として、1月に実施した特別職・幹部職員向けのハラスメント研修に加え、16日から27日にかけて、会計年度任用職員を含む約4700人を対象にハラスメント実態調査を新たに実施する。この調査では、現在の被害に加え、過去に受けた被害や当時の行動、行動できなかった理由などについても聞き取りを行う。杉本氏によるセクハラに関する設問も改めて設け、年度内に結果の概要を公表するとしている。

特別職の私的コミュニケーションツール使用を禁止

また、特別職の私的コミュニケーションツールの業務使用を禁止した。杉本氏は私用LINEを使ってセクハラにあたるメッセージを送っていたが、県の規定ではこれまで特別職は対象外となっていた。この点を改めることで、再発防止を図る。

調査報告書では、被害女性から相談を受けた上司らが適切に対応しなかったことも指摘された。これを受け、相談を受けた管理職に対し、担当部署などへの相談を義務化したほか、16日には弁護士によるハラスメント専用の相談窓口を設置した。

退職金返還意向に県議会から厳しい意見

杉本氏が退職金の一部を返還する意向を示していることについては、中村保博副知事が説明した。9日に杉本氏と面会した中村副知事によると、杉本氏は「法令に基づき支給されており、本来返還の根拠はない」としながらも、特別調査で約900万円の費用が生じたことや県政を混乱させたことを踏まえ、返還を申し出たという。

これに対し、県議からは「1000万円では了承できない」「全額返納がないのは残念」といった意見が相次いだ。中村副知事は報道陣の取材に「県議会の考えを踏まえ、対応を考えたい」と述べるにとどめた。

直接説明を求められるも文書での対応を表明

さらに、県議からは杉本氏が直接、説明責任を果たすべきとの意見も上がっていた。これに対し、杉本氏は「必要な範囲で文書の形で対応する」との見解を示したことが報告された。中村副知事は、杉本氏が弁明することで被害者がさらに傷つく可能性があるためと説明し、「県としては県民、県議会の声を本人に伝え、必要に応じて文書での回答を求める」とした。

福井県は今後、ハラスメント防止条例案の制定を進めるとともに、杉本氏の退職金返還問題についても県議会の意見を尊重しながら対応を検討していく方針だ。この問題は、公職者の倫理や責任の在り方を問う事例として、注目を集めている。