中東情勢の悪化を受けて、石油やナフサ(石油由来でプラスチックなどの原料)の供給不安が深刻化している。ナフサは多くの産業で使用される基幹原料であり、供給不安や生産縮小が長期化すれば、製造業だけでなく、広く消費者や他の産業にも影響が及ぶことが懸念される。
県内製造業の3割がナフサ依存
県の調査によると、ナフサ不足により、塗装用シンナーや農業用ハウスのビニール資材、建築用資材などの供給が滞っている。経営者からは「事業継続が難しくなっている」との声が上がっている。帝国データバンク郡山支店の分析では、県内製造業の約3割が製造過程でナフサまたはナフサ由来の資材を使用しており、供給網の川下に位置する中小事業者ほど影響が早く顕在化している。
政府の見解と現場の乖離
高市早苗首相は先日、中東情勢に関する閣僚会議で、中東以外からの代替調達を進めることで原油やナフサの供給継続は可能との従来の見解を繰り返した。さらに、小規模事業者まで必要な資材が行き届くよう、流通の目詰まり解消に取り組むよう指示した。しかし、供給問題はないとする政府説明は、調達難に苦しむ民間の実感と大きくかけ離れており、事業者の疑問に十分に応えているとは言い難い。政府には、今後の供給見通しについてより具体的な情報発信が求められる。
供給難長期化の懸念と企業の対応
供給難がしばらく続くとの観測もあり、製菓大手では商品の製造停止や包装の見直しなどの動きが見られる。政府は、供給難につながるマイナス情報もきめ細かく発信し、事業者がナフサを調達できない場合の善後策を検討できる環境を整える必要がある。
県の支援策と事業者への呼びかけ
県は、国や県の相談窓口や情報提供をまとめたウェブサイトを開設し、事業者への対応を強化している。事業者からの相談や情報は、国に実効性のある対策を取らせるための重要な材料となる。実際、相談をきっかけに国が仲介して資材確保に至ったケースもある。県内の事業者はこれらの窓口を積極的に活用してほしい。県も吸い上げた情報を国と共有し、対策強化を働きかけていくべきだ。
新たな支援策の必要性
県は原油価格高騰などの影響を受ける事業者向けのつなぎ融資制度を設けている。現在のところ利用は低調だが、今後増えることも想定される。県はこれまでの物価高などに伴う対策の効果を踏まえながら、新たな支援策を検討しておくことが重要である。



