纒向遺跡で漆塗りの文様を刻んだ円板が出土
奈良県桜井市の纒向(まきむく)遺跡で、3世紀後半(古墳時代初め)の漆塗りの文様を刻んだ円板が、市教育委員会の発掘調査で見つかりました。この円板は、2種類の鏡の文様を組み合わせた類例のない木製品で、用途は不明ですが、丁寧な作りから実用品ではなく、祭祀(さいし)に用いられた可能性もあるとされています。
円板の特徴
円板(直径17センチ、厚さ1センチ)はホオノキ製で、3世紀後半の溝(幅約40センチ、深さ約30センチ)から出土しました。全体に黒漆が塗られており、下半分と右側の一部が欠けていました。外側に向かって反り上がる形状で、中央に方形の穴が開いており、突起などにはめて用いた可能性があります。
文様は、同時代の内行花文鏡の連弧文と、方格規矩(きく)鏡のT・V・L字形の文様のうち、V字形の二つを組み合わせたものでした。こうした文様は、これまで確認されていないといいます。
過去の出土例と今後の研究
纒向遺跡では、過去の調査で吉備(現在の岡山県)に由来するとみられる弧文円板が出土していますが、いまだに用途がわかっていません。
橋本輝彦・市教委文化財課長は「文様構成が面白く、この時代ならではの精緻(せいち)な木製品。用途が全くわからないため、出土した遺構の分析などで謎の解明を進めたい」と話しています。
展示情報
現物は保存処理中で、市立埋蔵文化財センターで10月4日まで開催している発掘調査速報展「50cm下の桜井」で写真を展示しています。月・火曜休館で、午前9時から午後4時半まで。入館料は高校生以上200円です。



