前川彰司さん「司法の暗闇に光を」福井・中3殺害再審無罪、名古屋高検が内部調査開始
前川彰司さん「司法の暗闇に光を」福井中3殺害再審無罪、名古屋高検が内部調査

名古屋高検は2026年5月1日、1986年に福井市で中学3年の女子生徒が殺害された事件で、殺人罪で服役した前川彰司さん(60)の再審無罪を巡り、裁判に関わった検察官への聞き取りなど内部調査を始めると発表した。再審制度の見直しで政府と自民党の意見対立が続く中、一審の無罪判決から再審での確定まで35年を要した前川さんの事件についても一部議員から検証を求める声が上がっていた。

高検次席検事「国民的議論高まる中で」

名古屋高検の浜克彦次席検事は「再審に関する国民的議論や関心が高まる中、福井事件での検察官の対応についてもさまざまな指摘がされていることなどを踏まえた」とコメントした。聞き取りの対象は通常審や再審に関わった検察官らで、退職者を含む。再審判決で問題視された証拠の取り扱いについて経緯を詳しく確認し、報告書にまとめて公表する。調査の対象人数や終了時期のめどは明らかにしなかった。

証拠隠しの経緯が焦点に

前川さんの裁判では「血だらけの前川さんを見た」との重要証言をした知人が当日に見たとするテレビ番組の放送日が異なっていたことについて、検察側が一審の途中で把握しながら事実に反する主張を続け、第2次再審請求審まで明らかにしなかった。昨年7月の名古屋高裁金沢支部の再審無罪判決は、こうした経緯を「不利益な事実を隠そうとする不正な意図があったと言われても仕方ない」と非難した。

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昨年8月に高検が上訴権を放棄し、前川さんの無罪は確定。高検は当時、「不公正な主張立証をし、反省すべき点があったことは、客観的な訴訟記録から明らか」だとして、特別な検証の実施には否定的だった。今回の検証について浜次席は「最高検の指示もあり、追加で調査することとした」と説明した。

前川彰司さん「司法の暗闇に光を」

再審無罪確定後、事件当時の捜査の検証を訴えてきた前川彰司さん(60)は1日朝、福井市の自宅で購読する新聞で名古屋高検の方針を知り「驚いた。司法の暗闇に光を照らす検証になってほしい」と語った。冤罪が晴れた昨年7月の再審無罪判決は、警察が知人らの供述を誘導した疑いや、検察が知人らの証言の矛盾を一審途中に把握しながら立証を続けた姿勢を厳しく指摘。前川さんは、捜査の違法性などが今回の検証によって明らかになることを期待し「警察と検察には直接会って謝罪してほしい」とあらためて求めた。

福井県警は再審無罪確定後、増田美希子本部長が記者会見で「(捜査の検証は)個別に行う予定はない」との考えを説明。玉木勝刑事企画課長は1日の取材に「取り調べの適正化の取り組みなどを強化しているので、重ねて検証をすることは考えていないが、より一層緻密かつ適正な捜査に努めていく」と述べるにとどめた。

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