付属池田小事件から25年、今も続く元児童の心のケア 精神科医に聞く
池田小事件25年、続く心のケア 精神科医が語る支援の現場

大阪教育大付属池田小学校で2001年に発生した事件から、2026年6月8日で25年を迎える。この事件では児童8人の尊い命が奪われ、多くの児童が深い心の傷を負った。事件後、長年にわたり児童の精神面のサポートを続けてきたのが、精神科医の岩切昌宏さん(64)だ。現在も元児童へのケアを続ける岩切さんに、当時の状況や現在の取り組みについて話を聞いた。

事件直後の混乱とメンタルサポートチームの発足

岩切さんは当時、大阪教育大学の講師として柏原キャンパスに勤務していた。事件の一報を受けたその日の夕方には小学校に駆けつけ、対応にあたった。すぐに大阪府やさまざまな機関から精神科医やカウンセラーが集まり、「メンタルサポートチーム」が結成された。職員室に隣接する一室を拠点に、チームは多いときで総勢約100人にまで膨れ上がった。

児童の心の状態をどう把握したか

岩切さんは「暗中模索だった」と当時を振り返る。まず教員が各家庭に連絡を取り、状況を聞き取った。体調を崩している児童が多いことがわかり、教員とカウンセラーが2人1組で全学年の家庭訪問を実施。その結果、すぐに学校を再開できる状況ではないと判断し、小学校に助言した。

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多くの児童に何らかの精神的な影響が見られた。急性期の症状として、発熱や腹痛などの身体症状を示す子、事件を思い出して恐怖を感じる子、保護者にべったりとくっついて家から出られなくなる子などがいた。中には、家の鍵がしっかり閉まっているか何度も確認するため、保護者が追加の鍵を取り付けたケースもあった。

直接事件の現場を見ていなくても、教員たちの慌てた様子や上空を旋回するヘリコプターの音が記憶に残り、その後もヘリコプターの音に恐怖心を抱く児童もいた。事件後まもなく、保護者向けの24時間電話ホットラインが設置された。

学校再開への道のり

休校期間が長引くにつれ、同級生と話したいという児童も出てきた。教員の目の届かない場所で集まるケースも見られるようになり、思わぬ事態を懸念した。そこで、悲惨な事件が起きた現場での学校再開には慎重な対応が求められた。

岩切さんは「子どもたちのペースを尊重しながら、徐々に通常の生活に戻していくことが重要だった」と語る。学校再開後も、定期的なカウンセリングやグループセラピーを実施し、長期的なケアを続けてきた。

現在も続く元児童へのケア

現在、岩切さんは大阪教育大学の学校安全推進センターで、子どもの心のケアや研究に取り組んでいる。当時のメンタルサポートチームは形を変えて同センターに引き継がれ、元児童への継続的な支援が行われている。事件から四半世紀が経過しても、トラウマに苦しむ元児童は少なくなく、必要に応じて専門的なケアを提供している。

岩切さんは「時間が解決するわけではない。長い目で見た支援が不可欠だ」と強調する。学校安全の取り組みとして、再発防止策や防犯教育にも力を入れており、事件の教訓を次世代に伝える活動を続けている。

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