東京都新宿区の都庁前で2026年5月23日に行われた無料食品配布会で、利用者が過去最多となる1003人を記録しました。1000人を超えたのは初めてのことです。物価高が止まらない中、配布会に並んだ人々からは生活苦を訴える声が相次ぎ、民間の善意で困窮する暮らしを支える実態が浮かび上がっています。
配布会の現状
この配布会は、認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(新宿区)などが毎週土曜日に開催しています。2020年4月の開始当初は1日100人程度だった利用者が、昨年は700~900人前後で推移し、今年に入ると900人超えが目立つようになっていました。
もやいの大西連理事長は「いつかは1000人を超えると思っていたが、想定より早く驚いている」と話します。利用者の多くは、収入が少ないワーキングプアの労働者や生活保護利用者、年金受給者などです。住居や仕事はあっても収入が増えず、生活の足しにするために配布会を訪れているといいます。
物資の調達も困難に
配布する物資の値上がりも続いており、フードバンクや企業からなんとか調達し、届いたらすぐに配る「自転車操業状態」で運営しています。大西さんは「物価高に対する国や自治体の支援が不十分だ。夏場を前に、エアコン使用を控える人の健康被害も懸念される。現実に合った給付金支給など、低所得者向けの支援をすべきだ」と強調しました。
利用者の悲痛な声
記者が4月の配布会で出会った北海道出身の60代男性は、仕事帰りに訪れていました。「仕事を求めて数年前に上京したが、物価も家賃も高い。衆院選で話題になった消費税減税は期待できない」と話します。
男性は16歳で漁師になり、サケやマス漁に携わってきましたが、ロシアのウクライナ侵攻後の日ロ関係悪化で漁船の操業海域が制限され、仕事を失いました。現在は台東区で一人暮らし。工場や警備会社で非正規労働者として働き、月収は約25万円です。
「週6日働くから就職活動はできない。少額投資非課税制度(NISA)だって原資がない。その日暮らすだけで精いっぱい」と男性は語り、続けて「食品を受け取れてありがたい。でも、仕事などで来られない人もいるでしょうね」と話しました。



