埼玉県川口市で発生したケアマネジャーの女性が訪問先の住宅で殺害された事件を受け、大野元裕知事は2日の定例記者会見において、介護関係スタッフが複数人で訪問しやすい環境を整えるための制度改正を国に働きかける考えを表明した。
現行制度の問題点
県の説明によると、現在の介護保険制度では、介護職員が複数人で利用者宅を訪問する際、事前に訪問相手から同意書を取得することが義務付けられている。この規定について大野知事は「非常に使いにくい制度」と指摘し、「国に対して要件緩和を求めていきたい」と述べた。
県は既に昨年度から、同意書がなくても複数人での訪問を可能にするための独自の見直し手続きを進めているという。さらに知事は、ケアマネジャーなど介護職員以外の職種についても、複数人での訪問を促進する制度の必要性を強調した。
事件の背景と県の対応
今回の事件に関し、大野知事は事前のトラブルや警告の報告は「聞いていない」と述べた。一方、県内では2022年にふじみ野市で在宅医療の担当医ら3人が散弾銃などで殺傷される事件が発生。この事件を受けて県は、介護職員を対象に利用者からの暴力やハラスメントに関する相談窓口を開設している。
2025年度には介護事業所から102件の相談が寄せられ、内訳は精神的暴力77件、肉体的暴力3件、セクハラ11件などとなっている。
大野知事は「安全に業務を行える環境整備が急務」と述べ、制度改正への強い意欲を示した。



