福島第一原発事故に伴い、帰還困難区域に指定された浪江町津島地区の住民約600人が、国と東京電力に対し、古里での生活再開に向けた土地の原状回復と、総額約155億円の損害賠償などを求めた訴訟で、原告団は31日、和解案に同地区の年間追加被曝線量を、国際基準である1ミリシーベルト以下とすることを盛り込む方針を明らかにしました。
和解提案の経緯
この訴訟は、2026年3月に仙台高裁で控訴審が結審した際、裁判長が和解を提案したことがきっかけです。和解が成立しなかった場合、判決日は10月16日に指定されています。
原告団の総会
二本松市内で31日に行われた原告団の総会終了後、今野秀則原告団長(78歳)が報道陣の取材に応じ、「原状回復には和解という形が最適だと考えている」と説明しました。その上で、「これは最低限の要求であり、拒否されれば和解はできない」と強調しました。原告団は近く記者会見を開き、和解案の詳細を公表する予定です。
津島地区の現状
浪江町津島地区は、2023年3月末に避難指示が解除され、2024年1月には住民の帰還希望に応じて国が除染を行う「特定帰還居住区域」の認定を受けました。町は早期の避難指示解除を目指していますが、住民の間では放射線量に対する懸念が根強く、今回の和解案はその不安を解消するための重要な一歩と位置づけられています。
原告団は、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づく年間1ミリシーベルトという基準を採用することで、住民の安全を確保し、安心して生活できる環境の実現を目指しています。この基準は、一般公衆の被曝線量限度として国際的に認められており、原告団はこれを最低限の条件としています。
一方、国と東京電力の対応が注目されます。原告団の要求が受け入れられるかどうかは、今後の交渉次第であり、和解の行方が注目されます。



