強制送還の事前通知制度が廃止 入管庁が運用方針を転換
出入国在留管理庁は、強制送還の対象となった外国人の代理人弁護士に対して、送還予定時期を原則として2カ月前に通知する制度を廃止しました。この決定は今月1日付で正式に実施され、従来の運用から大きく方針を変更するものです。
日弁連が強く抗議 「裁判を受ける権利の侵害」と主張
日本弁護士連合会は、この制度廃止に対して強く抗議しています。日弁連は、送還の撤回を求める外国人の「裁判を受ける権利」が侵害されると主張しており、制度の存続を求めています。両者の間で深刻な対立が生じている状況です。
通知制度の背景と廃止理由
通知制度は2010年に日弁連との協議を経て開始されました。不正な入国や不法滞在をした外国人は国外退去処分となりますが、送還中止を求める裁判を提起する事例が少なくありません。そのため、弁護活動の参考情報として活用されることを目的としていました。
しかし、入管庁は廃止の理由として以下の点を説明しています:
- 通知後に少なくとも7人が一時的に行方不明となった事例があること
- 送還予定時期に合わせた抗議活動により業務に支障が生じたケースがあったこと
制度の具体的な運用実態
通知対象となっていたのは、護送官によって強制的に退去させられるケースに限定されていました。2024年には249人が該当し、希望する弁護士のみに情報が提供される仕組みでした。2025年には東京入国管理局だけで約50件の通知が行われていましたが、これらの実績にもかかわらず廃止が決定されました。
この制度変更は、外国人の権利保護と入国管理の効率性の間で生じる難しいバランスの問題を浮き彫りにしています。今後の展開が注目される状況です。