飯塚事件再審請求、福岡高裁も棄却決定 死刑執行後の第2次請求審で
飯塚事件再審請求、福岡高裁も棄却決定

飯塚事件の再審請求、福岡高裁も棄却決定 死刑執行後の第2次請求審で

福岡県飯塚市で1992年に発生した女児2人殺害事件、通称「飯塚事件」をめぐり、福岡高等裁判所は2月16日、殺人罪などで有罪が確定し死刑が執行された久間三千年元死刑囚(執行時70歳)の第2次再審請求について、即時抗告審で請求を棄却する決定を出しました。溝国禎久裁判長がこの決定を下し、事件から30年以上が経過した現在も司法判断が揺るがない状況を示しています。

事件の概要と確定判決の内容

確定判決によれば、久間元死刑囚は1992年2月20日朝、飯塚市内で小学1年生の女児2人を車に乗せ、首を絞めて殺害した後、山中に遺棄したとされています。直接的な物的証拠は存在せず、判決は複数の状況証拠を根拠としました。

  • 現場周辺で元死刑囚の車と類似した車両を目撃した証言
  • 元死刑囚の車内から検出された、被害女児と同一血液型の血痕
  • 女児の衣服に付着した繊維が、元死刑囚の車の座席シートと高い一致可能性を示したこと
  • 遺体から採取されたDNA型が元死刑囚と同型であったこと

これらの証拠を総合的に判断し、裁判所は有罪を認定しました。元死刑囚は一貫して無罪を主張していましたが、2006年に最高裁判所で死刑が確定し、2008年に刑が執行されました。

再審請求の経緯と争点

死刑執行後の2009年、元死刑囚の妻が申し立てた第1次再審請求では、DNA型鑑定の信用性が主要な争点となりました。この鑑定手法は、再審で無罪が確定した足利事件と同一のもので、ほぼ同時期に警察庁科学警察研究所が実施していました。

福岡地方裁判所は2014年、当時のDNA型鑑定には証拠能力の限界があることを認めつつも、その他の状況証拠のみで「高度の立証がなされている」と判断し、請求を退けています。

2021年に妻が申し立てた第2次再審請求では、弁護団が新たに2つの目撃証言を「新証拠」として提出しました。

  1. 誘拐現場とされた飯塚市内の三差路で、事件当日に女児2人を目撃したと当初証言していた女性が、「実際に見たのは事件当日より前の日であり、警察に誘導された」と証言を変更。
  2. 別の男性が、事件当日に元死刑囚とは特徴の異なる男性が女児2人を車に乗せて走行しているのを目撃したと証言。当時も警察に情報提供したが、取り合ってもらえなかったと主張。

しかし、福岡地裁は2024年、これらの新証言はいずれも「信用できない」として、再び請求を棄却しました。

高等裁判所での審理と決定

福岡高等裁判所での即時抗告審では、弁護側が2人の目撃者の初期供述に関する証拠が存在するはずだと主張し、福岡県警察が作成した捜査記録の一覧表の開示を求めました。

検察側はこの一覧表を裁判官のみに提示し、高裁は捜査報告書など計約200点の資料を複数回にわたって詳細に確認しました。その結果、高裁は弁護側が求めた具体的な資料は存在しなかったと判断し、昨年9月を以て協議を終結させていました。

今回の決定により、福岡高裁は新たに提出された証拠の信用性を認めず、従来の司法判断を維持する姿勢を示しました。死刑執行後に再審請求が続く異例のケースであり、司法制度の在り方に改めて注目が集まっています。

飯塚事件は、直接証拠が乏しい中で状況証拠に基づいて有罪判決が下された事例として、刑事司法の課題を浮き彫りにしています。再審請求が棄却されたことで、事件の真相をめぐる議論は今後も続くことが予想されます。