宮城県気仙沼市選挙管理委員会は8日、4月26日に投開票された市議選で当選した遠藤秀和市議(58)に対し、「市内に居住実態がない」として当選無効とする決定を下した。この決定は、同選挙で次点で落選した熊谷雅裕前市議(76)からの異議申し立てを受けたものである。
遠藤氏の反論と背景
遠藤氏は声明で「当選は適法と考える。そのため、県選挙管理委員会への審査申し立てを行う予定です」と述べ、決定を不服として争う姿勢を示した。遠藤氏は元市職員で、気仙沼市と合併した旧本吉町の出身。2022年の市議選で初当選し、今回の選挙で2回目の当選を果たした。
選挙公報によると、1992年に結婚を機に旧津山町(現在の登米市)へ転居したが、2021年12月に立候補のため気仙沼市に住所を移し、単身赴任していた。取材に対し、遠藤氏は「次男が重度の障害を持っており、介護のため家族が住む登米市の家と気仙沼市の家を行き来する二拠点生活をしている」と説明していた。
熊谷前市議の申し立て
熊谷前市議は、複数の市民からの情報に基づき、「住民票は気仙沼市にあるが、居住実態はない。被選挙人としての資格を欠いており、当選は無効である」と市選管に異議申し立てを行った。公職選挙法では、市町村議会議員の立候補要件として、選挙日までの3カ月以上継続してその自治体内に生活の実態があることが求められている。
市選管の判断基準
市選管は、異議申し立てを受けて遠藤氏の市内の自宅を調査し、双方から事情を聴取した。決定書によると、判断期間を1月26日から4月26日までの3カ月間に設定。過去の判例を踏まえ、水道・電気・ガスの使用状況などの客観的証拠や、滞在場所が昼夜で異なる場合は「寝泊まりしていた場所」の状況を基に総合的に判断した。
最も重視されたのは、1時間あたりの電気使用量だった。遠藤氏から提出された資料に基づき、気仙沼市内の自宅で夜間(午後7時からの12時間)に待機電力を超える使用量があった日をカウント。その結果、2月は28日中9日、3月は31日中13日、4月は26日中24日と認定され、「この客観的事実から、登米市内の宅に生活の本拠があったと認めるのが相当」と結論づけた。
家族の状況と特別な事情
遠藤氏の家族は妻、長男、次男、義母の4人が登米市の自宅で生活しており、「気仙沼市内の施設では送迎や医療的ケアの利用施設が見当たらないため、家族での同居ができない」と記された。しかし、入浴や洗濯などの生活に必要な行為も登米市宅で行われており、特別な事情を考慮しても、「4月26日の時点で引き続き3カ月以上気仙沼市内に住所を有していなかったと認められる」として当選無効を決定した。
選挙結果と今後の動き
市議選は定数21に27人が立候補。遠藤氏は615票を獲得し、当選者中最少得票だった。熊谷前市議は600票で次点となり、15票差で落選した。遠藤氏は今後、県選管への審査申し立てを予定しており、今後の判断が注目される。



