一部入荷待ちのエンジンオイルの棚を見つめる増子さん。「この状況が続くと厳しくなる」と話す=郡山市・イエローハット郡山西ノ内店
中東情勢の混迷の長期化に伴い、原油由来のナフサを使う製品が品薄となり、福島県内でも各業界に影響が広がっている。車のエンジンオイルや医療用器具などは流通が滞り「入荷のめどが立たない」との声が聞かれる。国が備蓄品を放出するケースもあるが、品薄が解消されるかは不透明で、先が見通せない状態は続く。
カー用品店ではエンジンオイルやアドブルーが品薄
「この状況が続くと厳しくなる」。カー用品を扱うイエローハット郡山西ノ内店(郡山市)副店長の増子優さん(48)は展示商品が少なくなったエンジンオイルの棚を見つめて肩を落とす。
店では4月中旬ごろから影響が出始め、現在は一部の商品が入荷待ちの状態。ディーゼル車を走らせるのに必要なアドブルー(尿素水)は容器不足で流通が滞っており、在庫切れになっている。最近は客からオイルに関する問い合わせが増えていて「国には早めに対策を取ってほしい」と話す。
医療用手袋の供給不足、8割の医療機関が影響
医療業界では、診療時に欠かせない手袋に影響が出ている。県医師会と県病院協会が県内の医療機関を対象に4月に実施した調査では回答した177医療機関のうち「影響は出ていない」は18.6%にとどまり、8割は何らかの影響を感じていることが明らかになった。
入荷の見通しなどに関して「不足する情報がある」が28.1%で最も多く、「受注制限がある」(17.6%)「納期が遅れている」(13.2%)などがあった。
うめつLS内科クリニック(福島市)では不足を見越して3月末に1箱100枚入りの手袋80箱を注文したが、40箱しか届かず、その後も入荷がない状態が続く。医療用手袋を巡っては、国が今月、保有する備蓄品の放出を始めた。院長の梅津啓孝さん(71)は「ありがたいことで、早くほしい」と歓迎するが、「どの程度流通するのかにもよる」と不安をのぞかせる。
建設業界では材料の納期遅れと価格上昇
建設・工事関係も同様だ。外壁や屋根の塗装を手がける蛭田塗装(会津美里町)社長の蛭田芳浩さん(50)は「注文しても届くまで時間がかかる」と頭を抱える。
工事に必要な材料は通常は2~3日で届くが、最近は1カ月以上かかるという。価格も塗装に必要なシンナーが以前の約1.75倍、塗料も約1.25倍に上昇。材料不足の影響で1週間ほど休業した同業者もいた。現在は材料業者と連絡を取り合いながら入荷状況を確認していて「今は耐えるしかない。早く情勢が落ち着いてほしい」と願う。
ナフサの調達状況
中東から4割調達 ナフサ 原油を精製して作る石油製品。エチレンをはじめとした基礎化学品に分解する工程を経て、プラスチックなどの原料となる。経済産業省によると、ナフサの調達はこれまで国産が4割、アラブ首長国連邦(UAE)やクウェートなど中東が4割、中東以外の海外が2割だった。イラン攻撃による影響で中東からの輸入が難しくなり、化学工業に減産の影響が出ている。



