日中関係悪化でレアアース磁石の供給危機が深刻化
日中関係の悪化に伴い、日本の製造業の生命線とも言えるレアアース(希土類)磁石の供給不安が急速に高まっている。多くの企業が調達を中国に依存しており、過去の外交問題では事実上の供給停止に直面した苦い経験があるためだ。しかし、日本の政府や企業は単に手をこまねいているわけではない。一部の企業では、新たな試練に直面している。
姫路電子の網嶋社長が明かす輸入量の激減と問い合わせの嵐
「今年に入ってから、レアアースの輸入量が3分の1にまで減少しました。取引先の企業からは『不安だ』という問い合わせの電話がひっきりなしにかかってきています」と、兵庫県姫路市に本社を置く姫路電子の網嶋重昭社長は深刻な表情で語る。同社は、レアアースを使用した高性能磁石を製造する企業として知られている。
姫路電子では、ネオジムやジスプロシウム、サマリウムなどのレアアースを加えた金属材料を中国から輸入し、国内の工場で磁力を与えて完成品に仕上げている。これらの磁石は、わずかなレアアースを混ぜ込むことで性能が大幅に向上し、現代のハイテク産業に不可欠な存在となっている。
レアアース磁石の重要性と応用分野
ネオジム磁石は、小型でありながら強力な磁力を発揮するため、スマートフォンや電気自動車(EV)のモーター部品に広く採用されている。一方、サマリウム磁石は耐熱性に優れており、航空機のエンジンや人工衛星の部品など、過酷な環境下での使用が求められる分野で活用されている。
中国政府が1月に打ち出した日本向け輸出規制の強化策では、軍民両用(デュアルユース)製品にレアアースが含まれると見られている。姫路電子が輸入する磁石材料の中でも、特にジスプロシウムやサマリウムが該当する可能性が高いという。
新規注文の殺到と断らざるを得ない現実
網嶋社長によれば、供給不安を背景に、他社からの新規注文が殺到している状況にある。しかし、輸入量の激減と不透明な輸出規制の影響で、これらの注文をすべて断らざるを得ないという苦しい決断を迫られている。
「輸出許可が下りたとしても、そのプロセスは予測不能で、安定した供給を確保することが困難です。このままでは、日本のものづくり全体に深刻な影響が及ぶ恐れがあります」と網嶋社長は懸念を表明する。
日本の対応と今後の展望
日本政府や企業は、過去の経験を踏まえ、レアアースの供給源の多様化やリサイクル技術の開発に取り組んでいる。しかし、短期的には中国への依存度が高い現状が続いており、外交関係の改善が急務となっている。
- レアアースの輸入量が3分の1に減少
- 取引先からの不安の声が相次ぐ
- 新規注文をすべて断る苦渋の決断
- 輸出規制の不透明さが供給を脅かす
この状況は、日本の製造業がグローバルなサプライチェーンの脆弱性に直面していることを浮き彫りにしている。今後の動向によっては、産業全体の競争力に影響を及ぼす可能性も否定できない。