内閣府報告書が分析、トランプ政権の高関税政策は期待された成果を達成せず
内閣府は2026年2月17日、世界経済の現状と見通しをまとめた報告書「世界経済の潮流」を発表しました。この中で、米国のトランプ政権が推進してきた高関税政策の影響を詳細に分析し、同政権が主張していた貿易赤字の縮小や米国内への製造業生産回帰といった具体的な成果は現時点で確認できないと指摘しました。
関税収入は増加も実効関税率は戦後水準に上昇
報告書によると、関税政策発動前の水準と比較して、米国の関税収入は2025年2月から12月までの累計で約1,760億ドル(約27兆円)増加しました。高関税政策の実施に伴い、米国の実効関税率は同年11月時点で10.0%に達し、世界貿易機関(WTO)の前身である関税・貿易一般協定(GATT)が発足する前の1946年の水準(10.3%)に近づいています。
物価上昇は限定的で企業収益に悪影響
当初懸念されていた関税による物価上昇については、その効果が限定的だったと分析されています。企業がコスト増加分を十分に価格に転嫁できず、特に製造業や卸売・小売業の収益が圧迫された状況が明らかになりました。この点は、高関税政策が国内産業全体に一律に利益をもたらすわけではないことを示唆しています。
貿易赤字減少は限定的、製造業雇用も減少傾向
報告書はさらに、人工知能(AI)や半導体関連の需要増加を受けて、台湾や東南アジア諸国連合(ASEAN)からの対米輸出が増加したことも影響し、関税による米国の貿易赤字減少効果は限定的だったと結論付けています。加えて、米国内の製造業の雇用者数も減少傾向にあることが指摘され、政策の雇用創出効果も疑問視されています。
米国が求めた直接投資の効果は中長期的な検証が必要
米国が貿易交渉を通じて日本を含む各国・地域に約束させた直接投資について、内閣府は「具体的な案件組成には時間を要する」と説明しています。実際に米国製造業の生産や雇用動向にどのような影響を与えるかについては、中長期的な視点から注目していくことが適当だと述べ、即効性のある解決策ではないことを示唆しました。
この報告書は、保護主義的な貿易政策が必ずしも期待通りの経済効果をもたらすとは限らないことを改めて浮き彫りにしています。世界経済の相互依存が深まる中、単独の関税政策では複雑な貿易問題を解決できない可能性が高いことを示唆する内容となっています。