5500億ドルの対米投資、第1号案件選定が最終局面へ
日本が日米関税合意に基づき約束した5500億ドル(約85兆円)の対米投資をめぐり、最初の投資先を決定する協議が大詰めを迎えている。2026年2月12日、米ワシントンで赤沢亮正経済産業大臣とラトニック米商務長官が会談し、具体的な案件について協議を進めた。
3つの有力候補が浮上
複数の関係者によると、現在最も有力視されている第1号投資候補は以下の3件に絞り込まれているという。
- 人工ダイヤモンド製造施設の建設
- データセンター向け火力発電所の整備
- 原油輸出のための港湾インフラ強化
人工ダイヤモンドが最有力候補に
特に注目されているのが人工ダイヤモンド製造プロジェクトである。黒鉛に高温・高圧をかけて製造される人工ダイヤは、半導体製造時のシリコンウェハー研磨や自動車部品の精密加工など、先端産業において不可欠な重要物資となっている。
しかし、現在この人工ダイヤモンドの製造工程は中国がほぼ独占しており、供給網の多様化が急務となっている。日本政府関係者は「中国依存からの脱却と、安定したサプライチェーンの構築が本投資の重要な目的の一つ」と説明している。
戦略的投資の意義
この大規模な対米投資は、トランプ米大統領の高関税政策に対する日本の対応策として位置づけられている。経済産業省幹部は「単なる投資ではなく、新たな日米経済連携の基盤づくりだ」と強調する。
人工ダイヤモンド案件が実現すれば、日本企業による米国内での先端材料生産が本格化し、半導体や自動車産業を含む広範な製造業の競争力強化につながると期待されている。
協議に参加した政府関係者は「すべての候補案件について、経済的合理性と戦略的重要性の両面から精査を続けている。早期の決定を目指す」と述べ、今後数週間内に第1号案件が正式決定される見通しを示した。