高市早苗首相が訪問中のベトナムは、世界上位のレアアース(希土類)埋蔵国として知られている。米地質調査所(USGS)のデータによれば、2025年時点でベトナム国内には350万トンのレアアースが眠っていると推定される。自国内に精製技術が乏しいことから、日本は2010年代に官民を挙げて開発に取り組んだ経験を持つ。レアアースの大部分を掌握する中国の輸出規制に対する懸念が強まる中、新たな参入を模索する国々が相次いでおり、ベトナムのレアアースが改めて注目を集めている。
日本とベトナムの過去の共同開発
日本とベトナムは共同調査を経て、2011年に北西部ライチャウ省のドンパオ鉱床における共同開発で合意に達した。この鉱床ではセリウムなどの軽希土類が採取可能であり、日本企業も進出して開発や精製事業に着手した。しかし、高いコストに加え、中国産レアアースのダンピングも影響して採算が取れず、結局事業化を断念せざるを得なかった。
世界6位の埋蔵量と新たな投資の動き
USGSによると、ベトナムのレアアース埋蔵量は世界第6位にランクされる。米中対立の激化に伴い、新たな供給源を求める韓国や米国、オーストラリアの企業がベトナムへの投資に乗り出している。こうした国際的な関心の高まりの中、ベトナムは昨年12月にレアアースの輸出制限を強化する措置を講じた。これまで鉱石をそのまま輸出していたが、国内産業を支援し製錬技術を向上させる狙いがあるとみられる。
ベトナムのレアアース開発をめぐっては、日本が過去に参入した経験が再評価されつつある。中国依存からの脱却を目指す各国の動きが加速する中、ベトナムがどのような戦略を打ち出すのか、今後の展開が注目される。



