国宝「鉄宝塔」に学ぶ鋳鉄の可能性、インフラ長寿命化へ山口の鋳物職人が提唱
国宝「鉄宝塔」に学ぶ鋳鉄の可能性、インフラ長寿命化へ

国宝「鉄宝塔」の耐久性に着目、鋳鉄でインフラ長寿命化を提唱

山口県防府市にある「やまぐち鋳物記念館」の館長を務める松村憲吾さん(51歳)は、鋳物の歴史と可能性を広く伝える活動に取り組んでいます。同記念館では、錫を使った鋳物づくり体験を通じて、金属を溶かして型に流し込む鋳造技術の魅力を紹介しています。

鋳物体験で感じる金属の重さと柔らかさ

3月中旬、記念館を訪れた若い男女が錫の皿づくりに挑戦しました。松村さんは「鋳物って聞いたことありますか」と問いかけ、鋳造の基本を説明。参加者は鍋で溶かした錫をお玉ですくい、型に流し込む工程を体験し、「重たいですね」と驚きの声を上げました。この体験では、溶かした金属の重さや柔らかさを実感することが狙いの一つです。

また、型からあふれた錫を再利用できることや、防府市に「鋳物師町」という地名が残るほど鋳物業が盛んだった歴史も解説。参加者は完成した皿を見て、満足そうな表情を浮かべました。

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鋳物業の家系から生まれた発想

松村さんは鋳物業の家系に生まれ、自身も鋳物製造会社の社長を務めています。系譜を遡ると、防府市の東大寺別院・阿弥陀寺に保存される「鉄湯釜」の一つにたどり着きます。これは先祖の松村彦右衛門が1828年(文政11年)に鋳造した鋳物です。

さらに、阿弥陀寺には国宝「鉄宝塔」が保管されています。この鋳鉄の鋳物は鎌倉時代に造られ、800年以上もの歳月を経ても現存しています。松村さんはこの事実を知り、「鋳鉄の鋳物を使えば、現代のインフラも長寿命化できるのではないか」と着想しました。

藻礁などへの応用可能性

鋳鉄は耐久性に優れ、腐食に強い特性を持っています。松村さんは、橋梁や道路、さらには藻礁などの海洋構造物に鋳鉄を活用することで、メンテナンスコストを削減し、持続可能な社会づくりに貢献できると提唱しています。この発想は、伝統技術を現代の課題解決に結びつける新たな視点として注目を集めています。

やまぐち鋳物記念館では、今後も鋳物の歴史を伝えるとともに、その技術的応用について研究を進めていく方針です。松村さんの取り組みは、地域産業の活性化と環境配慮を両立させるモデルケースとして期待されています。

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