静岡県・鈴木知事、中小企業の「両利き経営」拡大へ 就任2年インタビュー
静岡県知事、中小企業の「両利き経営」拡大へ

鈴木康友静岡県知事は28日、就任から2年となるのを機に中日新聞のインタビューに応じ、中小企業の「両利き経営」を支援する方針を明確にした。これは、既存の本業を強化しつつ、新たな事業の柱を育てる経営手法であり、地域経済の活性化を狙う。

両利き経営の具体策

鈴木知事は「中小企業の成長には、本業以外に成長の軸が必要」と強調。事業承継を契機に、後継者が本業の強みを再評価しながら新事業の可能性を探る環境を整える。具体的には、8月下旬から次世代経営者向けの塾を開講する。講師は既に事業承継し新事業を展開する経営者が務め、10~20人の塾生を募集し年度内に数回実施する。

また、大手監査法人トーマツが新事業のアイデア創出からビジネスプラン策定までを支援するプログラムを開始し、参加企業5社を募集。さらに、ビジネスパートナーや投資家とのマッチングイベントも開催する。来年度は塾やプログラム参加者によるコミュニティを形成し、両利き経営の輪を広げる計画だ。

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鈴木知事は「中小企業には既に事業基盤があり、富士山に例えれば麓からではなく5合目から登るようなもの。スタートアップより有利だ。第2創業への取り組みを加速させたい」と述べた。

リニア議論は前進、大型事業は停滞

1期目の折り返しを迎えた鈴木知事は、県東部・中部・西部の地域バランスに配慮しつつ、県議会との対立を避けて堅実に県政を運営。懸案だったリニア中央新幹線は県内着工容認の一歩手前まで議論が進んだ。一方、浜松市中央区篠原地区の県営野球場やJR東静岡駅前の県立中央図書館など大型プロジェクトは停滞し、不透明感が漂う。

鈴木知事は「浜松市長時代は浜松だけだったが、知事になり東部や中部の素晴らしい資源に気づいた」と述べ、東部の医師不足解消や伊豆の観光振興の必要性を強調。地域バランス重視の姿勢を示した。

2年前の知事選で対立候補を支援した最大会派・自民改革会議の県議は「当初は浜松重視の懸念があったが払拭された。議会も正常化し安心して臨めた」と評価する。鈴木知事は月2回の定例記者会見で慎重な発言を心がけ、県議会での不規則発言もない。

リニアとスタートアップ支援

リニアを巡っては、長年停滞したJR東海との議論を大きく前進。知事が県内着工容認の前提条件の一つとした課題の対話は3月下旬に完了した。浜松市長時代から注力するスタートアップ支援も、企業に資金提供するファンドサポート事業を全県に拡大した。

大型事業の課題

しかし、県幹部からは「リニアは前知事の残務処理。野球場や図書館などの県独自事業は先延ばしで事実上の凍結」との指摘もある。野球場は地元要望のドーム型か屋外型か、県と浜松市が協議会で検討中だが、2028年度末まで民間投資の可能性を見極める方針で時間を要する。県立中央図書館は国の交付金が100億円減額され、計画見直しを余儀なくされた。

自民県議からは「失点は少ないが、財政健全化やスタートアップ支援など浜松市でやったことを県でも行っているだけ。知事として本当にやりたいことや信念が見えない」との冷めた声も聞かれる。

残り2年の任期で、大型事業の道筋を付けつつ「鈴木色」を打ち出せるかが注目される。(山田晃史)

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