「カニ歩き」という言葉があるが、実はカニの仲間(短尾類)すべてが横歩きをするわけではない。一部の種は、近縁のヤドカリ(異尾類)のように前歩きをする。いつ、どのような進化を経て横歩きをするようになったのか。長崎大学など日本、米国、台湾の国際研究チームは、カニの横歩きの起源が約2億年前に共通の祖先からたった一度の進化でもたらされ、その後多様な種で維持された可能性が高いと、生命科学の専門誌に発表した。
研究の概要
研究チームはまず、ズワイガニやサワガニなど50種について水槽で動きをビデオ撮影し、35種が横歩き、15種が前歩きと判定した。これらの種の最新の遺伝子解析に基づく系統樹と照らし合わせ、祖先が横歩きだったか前歩きだったかを推定した。
進化のタイムライン
その結果、ヤドカリの仲間とカニの仲間は約2億7千万年前に共通の祖先から分かれ、その時点ではまだ前歩きだった。しかし、カニの仲間の一部が約2億年前に前歩きから横歩きに進化し、その後多様な種へと進化を遂げつつも、横歩きが大部分で維持されたという。
ズワイガニは前歩き?
前歩きの15種のうち、アサヒガニ科や一部のカニが含まれる。ズワイガニは横歩きだが、近縁種の中には前歩きのものもいる。研究チームは、横歩きが一度獲得された後、環境適応や捕食回避などの要因で維持されたと推測している。
この発見は、カニの進化史における重要な転換点を示すものであり、今後の研究で横歩きの利点や分子メカニズムの解明が期待される。



