【ワシントン=田中浩一】トランプ米大統領は24日、人工知能(AI)を軍事分野で積極的に活用するための大統領令に署名した。この大統領令は、AIを搭載した兵器システムの開発と配備を加速させることを目的としており、国防総省に対して具体的な指針の策定を求める内容となっている。
AI兵器開発の加速を指示
大統領令では、国防総省に対し、AI兵器の開発を迅速に進めるためのロードマップを作成するよう指示。さらに、AI兵器の使用に関する倫理的枠組みや、人間による適切な監視の確保についても検討を求めた。トランプ政権は、AI技術が国家安全保障上の優位性を確保する上で極めて重要であり、中国など競合国に後れを取らないよう、官民連携を強化する方針を示している。
中国との競争を意識
今回の大統領令は、急速に軍事分野でのAI活用を進める中国を強く意識したものとみられる。米国防総省は既に、AIを用いた自律型ドローンや標的識別システムなどの開発を進めているが、より組織的な取り組みが求められていた。大統領令は、AI兵器の開発において、米国が主導的な立場を維持するための包括的な戦略の一環と位置づけられている。
一方で、AI兵器の自律性が高まることに対する懸念も根強い。国際人権団体などは、完全自律型兵器の開発に反対しており、人間の判断を介さない殺傷行為のリスクを指摘している。トランプ政権は、大統領令の中で「適切な人間の関与」を強調しているものの、具体的な基準は今後の国防総省の指針策定に委ねられる。
この大統領令を巡っては、議会内でも意見が分かれている。一部の議員は、AI兵器の開発促進に賛成する一方で、倫理的課題や国際的な規制の必要性を訴える声も上がっている。国防総省は、年内にも指針の草案を公表する見通しだ。



