中国政府は24日、人工知能(AI)の開発と利用を包括的に規制する法律の草案を公表した。国家安全保障を最優先に据え、AI技術の濫用を防ぐための厳格な許可制やリスク評価の義務付けなどが盛り込まれている。年内の成立を目指すとみられる。
草案の主な内容
草案は全7章68条からなり、AIの定義から開発者・提供者の責任、リスク管理、データ保護、さらには国際協力まで幅広い範囲をカバーしている。特に注目されるのは、AIシステムをリスクレベルに応じて4段階に分類し、高リスクとされるAIには事前の許可取得を義務付ける点だ。また、AIによる差別や偏見の防止、個人情報の保護、そして国家安全保障への脅威となり得るAIの輸出や利用を制限する条項も含まれている。
国家安全保障への配慮
草案では、AI技術が国家安全保障に悪影響を及ぼす可能性がある場合、政府が開発や提供を停止させる権限を持つと明記された。これは、AIを利用したサイバー攻撃や偽情報の拡散、さらには軍事分野での悪用を防ぐ狙いがあるとみられる。専門家は、中国政府がAI技術の進展を促進しつつも、そのリスクを厳格に管理する姿勢を示したと分析している。
企業への影響
今回の規制法は、中国国内でAIを開発・提供するすべての企業に適用される。大手IT企業やAIスタートアップは、新たな許可申請プロセスやコンプライアンス対応を迫られることになる。一方で、草案ではAI技術のイノベーションを促進するための措置も盛り込まれており、研究開発への支援や国際協力の推進も謳われている。中国政府は、規制と振興のバランスを取ることで、AI分野での国際競争力を維持したい考えだ。
今後の見通し
草案は今後、パブリックコメントを経て修正され、年内にも全人代で審議される見通しだ。成立すれば、中国は世界に先駆けた包括的なAI規制法を持つことになる。米国や欧州連合(EU)もAI規制の動きを加速させており、国際的な規制の枠組みづくりにも影響を与える可能性がある。中国政府は、安全保障と技術発展の両立を図りながら、AI分野での主導権を握ろうとしている。



