空知ワインの魅力を発信するワインエキスパート
北海道岩見沢市で活動するワインエキスパートの武田達成さん(56)は、社会保険労務士・行政書士として働く傍ら、空知ワインの魅力を広める活動に力を注いでいる。空知地方のワイン用ブドウ畑は6月に開花の季節を迎えるが、小さな白い花に雨が降ると実がなりにくくなるため、武田さんは「降るな、降るな」と毎日祈りながら見守っている。
パンとワインのコラボレーション
武田さんは、地元のパン工房「パン工房こんとれいる」と協力し、昨年12月から定期的にワイン会を開催している。このワイン会では、空知ワインと地場産小麦「キタノカオリ」を使ったパンを組み合わせ、参加者にその魅力を伝えている。「冷涼な気候が育む酸味が空知ワインの特徴であり、風味豊かなキタノカオリのパンと一緒に味わってほしい」と武田さんは語る。
4月に開かれた春のワイン会では、市内の生産者「ナカザワヴィンヤード」の中沢由紀子さんも同席し、中沢さんが醸造した白ワイン「クリサワブラン」などを参加者とともに味わった。参加者たちはグラスを手に笑顔でうなずき、パンとワインの相性を楽しんだ。
ボランティアガイドとしての活動
武田さんは、ブドウ畑のボランティアガイドも務めており、昨年7月には岩見沢市内の畑を案内した奈良県からの夫婦から「空知ワインの酸味にひかれて来た」と言われ、道外にもファンが広がっていることを実感した。
武田さんと空知ワインとの出会いは14年前。友人の誘いで岩見沢市内の飲食店で開かれたワイン会に参加し、同じブドウ品種でも産地によって味わいが異なることを知った。特に、初めて飲んだ宝水ワイナリーの白ワイン「RICCAシャルドネ」に感激し、「岩見沢にこんなおいしいワインがあるのか」と衝撃を受けた。この経験が、空知ワインの魅力を伝えたいという思いにつながった。
その後、ワインイベントなどを通じて地元の生産者との交流を深め、岩見沢市の「KONDOヴィンヤード」「ナカザワヴィンヤード」、三笠市の「宮本ヴィンヤード」で毎年9月から10月にかけて収穫作業などの手伝いを行っている。
過酷な環境での挑戦
空知地方の生産者は豪雪地帯という過酷な環境の中で、質の高いワイン造りに挑戦している。武田さんは「農業の現場を知ることで生産者の個性に触れ、それぞれのおいしさにつながっていることを実感できた」と語る。
ワイン検定の試験会場として
2024年からは、宝水ワイナリーで日本ソムリエ協会の「ワイン検定」の試験を開始。醸造担当者の説明を聞きながらブドウ畑や醸造施設を見学できるため、岩見沢市外からの受験者にも好評を得ている。「教科書で得る知識以外のものを感じてほしいと思った。ワイン生産者の理解と協力があってワイナリーを試験会場にできた」と武田さんは話す。
イタリアでの経験と未来への期待
武田さんは、栗山町職員だった2017年に町の農業研修で北イタリアを訪れ、600年以上の歴史を持つピエモンテ州のワイナリーを見学した。石造りの古い建物を利用したワイン造りの現場に歴史の重みを感じ、「空知ワインの歴史はまだ浅いが、熱意のある生産者が『おいしいワイン』の歴史を積み重ねていってくれると思う」と期待を込めて語った。



