中国での抹茶販売をめぐる訴訟、京都の老舗と茶問屋が和解に至る
2019年3月に提起された、中国における抹茶販売をめぐる訴訟で、京都府宇治市の老舗抹茶製造業者「丸久小山園」と同市内の茶問屋との間で、大阪高等裁判所において和解が成立したことが明らかになりました。和解は2026年1月9日付で行われ、両者は宇治抹茶のブランド価値を維持・発展させることで合意しています。
和解内容の詳細と被告側の認め
和解内容によりますと、被告である茶問屋が中国の取引先に「宇治抹茶証明書」を交付したことが発端となり、その取引先が「被告側の関与しないところで、丸久小山園の商品名を使用して宇治抹茶のように装い、製造・販売を行うようになった」ことを、被告側が認めました。この認めは、訴訟の核心的な争点を解決する重要な一歩となりました。
原告の丸久小山園は、当初約7700万円の損害賠償を請求していましたが、和解に際してこの請求を放棄することを決定しました。この放棄は、両者が今後の協力関係を重視した結果であり、長期的なブランド保護を優先した判断と見られています。
宇治抹茶のブランド価値維持に向けた共同の取り組み
和解の中で、原告と被告は「宇治抹茶のブランド価値を維持し、さらに発展させるために努める」ことで合意しました。この合意は、単なる訴訟の終結を超えて、地域の特産品である宇治抹茶の品質と名声を守るための共同のコミットメントを示しています。
宇治抹茶は、国内外で高い評価を受けており、近年の抹茶ブームの中で需要が急増しています。しかし、その人気に伴い、類似品や偽装表示の問題が表面化しており、今回の訴訟はそうした課題を浮き彫りにしました。和解を通じて、両者はこうした問題に対処し、消費者への信頼を確保する姿勢を明確にしました。
訴訟の背景と今後の影響
訴訟は、丸久小山園が2020年代前半に、中国市場で自社の人気商品に似た抹茶が販売されていることを発見し、その販売に間接的に関与したとして茶問屋を訴えたことから始まりました。この事件は、グローバルな市場拡大の中で、地域ブランドの保護が重要な課題であることを再認識させる事例となりました。
和解の成立により、両者は法的な対立を解消し、今後は宇治抹茶の品質管理や販売戦略において協力する可能性が高まっています。これは、地域産業の持続可能性を高める一助となることが期待されます。
この訴訟の和解は、老舗企業と地元業者との間で、ブランド価値の共有と保護が可能であることを示しており、他の地域特産品を扱う企業にとっても参考になるケースと言えるでしょう。