どじょうすくい踊りで知られる島根県安来市の伝統芸能「安来節」の特別公演が9月、北九州市で開かれる。民謡が盛んな九州地方で安来節を普及させようと、踊り手や唄い手、演奏者らで構成される「安来節保存会」と市が企画した。会員減少が進む中、九州地方での認知度を高め、会員数の増加や将来的な支部設立を目指す。
最盛期の3分の1に減少した会員数
安来節保存会は1911年に創立。80年代前半までは民謡ブームの波に乗り、最盛期の1983年には全国で5000人を超える会員を抱えていた。県内21支部のほか、北は宮城県、南は山口県まで12都府県に計31の支部がある。
一方で、少子高齢化の影響で会員数は右肩下がりに。保存会によると、2025年の会員数は約1700人で、約7割が65歳以上の高齢者だという。
九州地方での会員獲得戦略
会員数の復調を図ろうと保存会が目を付けたのが、これまで支部がなかった九州地方での会員獲得だ。九州から近い山口県の支部に福岡・鹿児島両県出身者が8人いるものの、支部設立には継続的な活動を行うため、数十人ほどの会員が必要という。
代表的な民謡の一つ「博多節」や三池炭鉱をモデルにした「炭坑節」など民謡文化が根付く九州地方のファンを増やそうと、会長を務める田中武夫市長が保存会に特別公演を提案し、実現した。保存会などがかかわる九州公演は、2001年に博多で開かれて以来、25年ぶりという。
公演内容と期待
公演会場は、約2000人ほどが収容できる北九州市の商業施設「チャチャタウン小倉」のイベント広場。安来市の本部道場で腕を磨いた上位資格者の「准名人」や「大師範」を中心に約10人が参加し、本場の安来節を披露する。
来場者がステージに上がって、どじょうすくい踊りを体験する参加型イベントのほか、安来節の踊りと唄をヒップホップ調にアレンジした「ネオ安来節」も披露する予定だ。
安来市は、2026年度一般会計当初予算に交通費や出演料約200万円を計上。保存会の内田修次事務局長は「安来節の魅力に触れることで、安来に訪れる人を増やしながら、会員の増加や支部設立を目指したい」と話す。



