静岡県富士市の須津千人塚古墳から出土した金銅製の帯金具が、紙おむつの素材を活用した保存処理によって、かつての輝きを取り戻した。この帯金具は7世紀中ごろの飛鳥時代に築かれた古墳から発見され、朝鮮半島の古代国家・百済に由来するもので、日本国内では初めての出土例となる。
発見と初期の状態
2024年度の発掘調査で、横穴式石室の入り口付近から3点の帯金具が見つかった。しかし、出土時は全面がさびに覆われ、鳳凰や鬼神などの精緻な文様がほとんど確認できない状態だった。当初は先端が折れ曲がっていたが、修復作業によって元の形状が復元された。
保存処理のプロセス
富士市教育委員会は昨年8月、県埋蔵文化財センター(静岡市清水区)に保存処理を委託。担当した大森信宏さん(58)は、まずX線撮影で文様の存在を確認した。その後、軟らかい竹串を使って泥やさびを慎重に除去し、エチレンジアミンテトラ酢酸という薬剤でさびを分解。この工程で活用されたのが、紙おむつの素材である。紙おむつは吸着力が高く、さびを効率的に吸着するため、処理の効率化に貢献した。
復元された文様と歴史的意義
処理後、帯金具には鳳凰や鬼神などの文様が鮮やかに浮かび上がった。これらの文様は高度な金工技術を示しており、古代東アジアの交流を考える上で貴重な発見となった。朝鮮半島でも類例が少ないとされ、百済と日本の関係を解明する手がかりとして期待されている。
須津千人塚古墳は7世紀中ごろに築かれたとされ、今回の出土品は飛鳥時代の国際交流を物語る重要な資料である。富士市教育委員会は、今後も調査を継続し、古墳の全容解明を目指す方針だ。



