平山郁夫の教えが導いた文化財復元の道 馬場良治氏の軌跡
平山郁夫の教えが導いた文化財復元の道

平山郁夫の教えが文化財復元への道を開く

文化財彩色復元の第一人者として知られる馬場良治氏は、東京芸術大学で日本画の巨匠・平山郁夫氏(故人)と日本画家の吉田善彦氏(同)から指導を受けた。平山氏の講義では、一辺が1~1.5メートルの和紙に岩絵の具や墨を使い、2か月から半年かけて作品を制作。平安や鎌倉時代の絵の模写にも繰り返し取り組んだ。

「一つのことを30年続けなさい」という教え

平山氏は「一つのことを少なくとも30年は続けなさい。そうすれば答えが見えてくるかも」と語り、馬場氏に深い影響を与えた。大学時代、デッサンのために雪山を訪れるなど、日本画の基礎を徹底的に学んだ。

4年生の時、吉田氏から「日本画を深めるには古典も学んだ方がいい」とアドバイスされ、馬場氏は大学院で文化財の保存修復技術を学ぶことを決意。刀の研ぎ師や漆塗り職人、表具師など、平山氏が招いた人間国宝級の職人たちから伝統技術を教わった。

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山崎昭二郎氏との出会いと決断

大学院修了直前、平等院鳳凰堂や唐招提寺金堂など数々の国宝・重要文化財の彩色復元を手がけた山崎昭二郎氏(故人)が平山氏の研究室を訪ねてきた。山崎氏は視力の衰えから助手を必要としており、平山氏は馬場氏に「3年ぐらい辛抱してきたらどうだ」と促した。馬場氏はこの言葉をきっかけに、文化財修復の道に進むことを決めた。

「最初は文化財修復に全く興味がなかった。平山先生からその道に進むきっかけを与えてもらった」と馬場氏は感謝を語る。

初めての重要文化財修復の仕事

日本画の創作を続けながら、1985年には山崎氏のもとで、滋賀県の琵琶湖に浮かぶ竹生島にある重要文化財「宝厳寺観音堂」の彩色模写を担当。桃山時代のけんらん豪華な建築様式を伝える建物で、東京芸大の後輩2人と壁や梁に描かれた絵を描き写し、色を付けた。保存状態が良かったため、4か月ほどで仕上げることができた。

「初めての重要文化財の仕事だった。無事に終えることができた時はほっとした」と馬場氏は振り返る。平山郁夫氏の教えが、文化財復元の第一人者への道を確かなものにした。

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