仕事でお客さんと会話しているところへ通りかかったご近所さんが、突然「あれ国際宇宙ステーション(ISS)やで、ほら」と指さした。あまりに唐突だったが、居合わせた全員が反射的に夕闇を横切る光の一点を夢中で追いかけた。そして思わず声が上がる。あんなにはっきり見えるものなのかと、誰もが少年のように目を輝かせた。
この出来事のおかげで、話の内容は完全に別の方向へ飛んでしまった。ともあれ、ついつい私もISSのとりこになってしまい、以来、通過時間や方角をチェックするようになった。夕方だったり早朝だったり、見える時間や方角は常に同じではない。しかし、きっちり時刻通りに現れ、地球の影にかかればふっと消える。その様子が何ともおもしろい。
ここで見え始めるISSは、まさに同じ時刻にはるか外国の都市の上空にいる。考えるだけでワクワクする。自宅の隣まち、伊丹市の市立こども文化科学館の敷地には「宇宙桜」が植わっている。スペースシャトルで毛利衛飛行士と宇宙をめぐり、地球に帰還したエゾヤマザクラの種子から育ったものだ。
その横にあるプラネタリウムの球形建物を地球に見立てると、桜はかつての旅を思い出したり、この惑星の現在に何を思うのか、と妄想が膨らむ。今年の花は見逃してしまい、今はすっかり緑一色だが、この文章を書き上げた足で、ちょっと会いに行ってみようかと思う。



