神奈川県藤沢市の江島神社は27日、鎌倉時代に彫られ国重要文化財に指定されている八臂弁財天像(木造弁才天坐像)と、市文化財指定の妙音弁財天像の3D(3次元)データ化に着手した。デジタル情報を残すことで文化財の姿を後世に伝え、複製の制作も可能にする試みだ。
3Dスキャンによる計測作業
同日、普段は奉安殿で公開されている2像を社務所に運び、専門業者が3Dスキャナーで測定した。今後は情報通信会社「ホロラボ」(東京都品川区)でデジタルデータを整える。
相原圀彦宮司は「弁財天像がこのままの形で500年、千年先まで残るとは考えにくい。熱意のあるスタッフと知り合った今が、データ化の好機だと考えた」と話す。データ完成後には、複製を作成したいと考えている。
県内初の試み
県立歴史博物館の神野祐太主任学芸員によると、県内の寺社の彫刻で、3D計測後に複製が作られるのは初の試みとみられる。
文化財のデータ化について、今回の取り組みに協力している公立小松大(石川県小松市)の野口淳・次世代考古学研究センター特任准教授は「すべての方向から記録がとれる3D測定は、将来に文化財を受け継ぐ注目すべきプロジェクトだ」と意義を語る。
野口さんによると、和歌山県立博物館では高齢化や人口減などを受け、3Dプリンターでつくった仏像や神像を「お身代わり」として寺社に安置し、本物を博物館で保管する活動を行っている。
文化庁のデータベースによると、八臂弁財天像は1230年代に、鎌倉幕府や御家人の関与により運慶派仏師によって造られたとみられている。



