朝晴れエッセー:里芋の露が教える生命の神秘と風雅
朝晴れエッセー:里芋の露が教える生命の神秘

「あれ、なぜこんなところに水滴が?」。出窓に置いた植物の近くに水滴があり、数日後もまた目についた。約1カ月前、キッチンの隅に放置された2個の里芋から芽が出ていたのを見つけ、それぞれ半分にして水につけておいた。根が広がるとともに茎の生育は驚くほど早く、日に日に伸びていき、今では葉っぱが3枚になり、まさしくミニミニ芋の葉である。毎朝入れ替える水もあっという間に少なくなる。

里芋の露のことは知っていたが、この時期に室内での露に納得がいかないので調べてみた。根の水分吸収により生じる圧力によって、葉の水孔から水滴が押し出される現象で溢泌(いっぴつ)というそうだ。この現象は、気温が低く湿度が高い早朝や夕方に発生しやすいとされる。

里芋の露を集めて墨をすり、その墨で七夕の短冊に願い事を書くと願いがかなうという言い伝えがある。墨もすずりも毛筆もない。それよりも七夕まで里芋が元気であるとは思えない。今のうちに、里芋がもたらす命の水を厳粛にまた風雅に処せる何か策はないだろうか、考えを巡らしているところである。

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森本保孝(77) 福岡市早良区

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