童話研究者・小澤俊夫さん逝去 川崎を拠点に平和と昔話の継承に尽力
小澤俊夫さん逝去 川崎で昔話研究と平和活動に尽力

童話・昔話の研究者、小澤俊夫さんが96歳で逝去

国内外の童話や昔話の研究で知られ、筑波大学名誉教授を務めた小澤俊夫さんが4月18日、96歳で死去した。小澤さんは長年にわたり神奈川県川崎市多摩区を拠点として活動し、地元の昔話を語りやすい文章に書き直した書籍を出版するなど、文化の継承に尽力してきた。その訃報を受け、地元の関係者からは深い悲しみと感謝の声が寄せられている。

川崎に根ざした研究活動と「昔話は語るもの」という信念

小澤さんは1930年に中国で生まれ、1998年に川崎市多摩区に「小澤昔ばなし研究所」を設立。2022年には、川崎で伝えられてきた昔話を集めた『かわさきのむかし話を語ろう』を北野書店(幸区)から出版した。小澤さんの研究姿勢は「昔話は読むものではなく、語られ、聴いて伝えられていくもの」という信念に基づいており、言葉一つひとつを大切にする姿勢が特徴だった。

北野書店の北野嘉信会長は小澤さんについて、「会話でも丁寧に言葉を選び、フットワークが軽く日本各地で研究活動を行っていたが、コロナ禍を機に地元・川崎を見つめ直すきっかけとなった」と振り返る。また、同社が復刊した小澤さんの著書『こんにちは、昔話です』(2009年刊)は、昔話入門書として「バイブル的存在」と評され、小澤さん自身も復刊を喜んでいたという。

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平和への強い思いと戦争体験に基づく発信

小澤さんの平和への思いは強く、父・開作さんが戦時中に軍部を批判し特高警察に監視されていた経験も影響していた。2006年には「たま九条の会」発足の呼びかけ人に名を連ね、2017年8月には本紙川崎版の連載企画「元軍国少年が願う平和」で、自身の戦時中の日記を基に現代政治への批判的見解を表明。当時の安倍政権の「共謀罪」などに強い危機感を示し、「言葉をすり替える手口は今も横行している」と指摘していた。

妻で臨床心理学者の小沢牧子さんと市民団体で活動した江田雅子さんは、「昔話の面白さを改めて気付かせてくれた尊敬すべき方だった」と惜しむ。また、次男でシンガー・ソングライターの小沢健二さんはコメントで、「『仕事しなきゃ』と最後まで研究に熱心で、2年前に他界した弟・小澤征爾と仲が良かったので、あちらで一緒に歌っているだろう」とつづった。

小澤俊夫さんは、昔話の研究を通じて文化の継承に貢献するとともに、戦争体験に基づく平和へのメッセージを発信し続けた。その生涯は、学問と社会活動を結びつけた稀有な存在として記憶されるだろう。

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