大規模災害時の人的支援受け入れ体制、自治体の半数が業務ごとの担当者を未選定
大規模災害が発生した際に、他の自治体などから派遣される人的支援を受け入れる「受援」体制について、全国の主要な市区のうち、業務ごとに担当者を選定している自治体がわずか半数程度であることが、読売新聞の調査によって明らかになりました。災害時には自治体の業務が膨大かつ多岐にわたるため、支援の実効性を高めるためには、あらかじめ業務ごとに受け入れ担当者を決めておくことが極めて重要です。南海トラフ巨大地震や首都直下地震の発生が近い将来に予想される中、こうした対策の強化は緊急の課題となっています。
熊本地震の教訓と内閣府の指針
2016年に発生した熊本地震では、応援職員の受け入れを巡り、人員の配置などにおいて混乱が生じました。この経験を踏まえ、内閣府は受援体制に関する指針や手引を策定し、市区町村ごとに受け入れ手順などを示した「受援計画」の作成を求めています。具体的には、避難所の運営や罹災証明書の交付など、各業務ごとに担当者を配置するよう促しており、これにより災害時の円滑な支援受け入れを目指しています。
全国109自治体の実態調査
読売新聞は今年3月から4月にかけて、県庁所在地や政令指定都市、東京23区、中核市を含む計109の自治体を対象に、内閣府の手引が求める受援体制の整備状況についてアンケート調査を実施しました。その結果、すべての自治体から回答を得ることができました。
調査によると、受援計画を策定していた自治体は102に上りました。このうち、対外的な窓口となる「庁内全体」の受援担当者を決めていた自治体は94ありましたが、避難所運営や罹災証明書交付などの「業務ごと」に担当者を定めている自治体は、横浜市や大阪市など55自治体にとどまりました。これは全体の約半数に相当し、多くの自治体でまだ体制が不十分であることを示しています。
災害時の業務と担当者の重要性
災害時には、応援職員への業務説明や指示が部署ごとに必要となるため、業務ごとの担当者が不可欠です。内閣府は「災害時の業務は防災部局だけではなく、他の部署にもまたがるケースが多い。全庁的な受け入れ環境を確保するためには、業務ごとの担当者が欠かせない」と強調しています。例えば、避難所の管理には福祉部門、罹災証明書の発行には市民課など、各専門分野に応じた担当者を事前に決めておくことで、支援活動の効率化と迅速化が図れます。
今回の調査結果は、大規模災害への備えがまだ道半ばであることを浮き彫りにしました。今後、各自治体が指針に沿った体制整備を加速させ、人的支援をスムーズに受け入れられる環境を整えることが、災害対策の重要な一歩となるでしょう。



