大阪府に住む42歳の女性は昨年、小学5年生の長男のスマートフォンを確認し、驚愕した。長男の友人からLINEで性器や性行為に関する卑猥な言葉に加え、InstagramやTikTokの性的コンテンツへのリンクが送られていたのだ。朝日新聞は保護者を対象に性教育に関するアンケートを実施し、2421件の回答を得た。その9割近くが学校での性教育を求めており、理由や背景を自由回答や取材から探った。記事後半では、文部科学省での議論の現状も紹介する。
スマホを通じた性的情報の流入
女性は長男にスマホを持たせているが、LINE以外のSNSは利用禁止にしていた。長男はリンクを開かなかったものの、困惑していた。仲間外れを恐れて拒否できず、スタンプを返してごまかす状態だったという。
「小学生でも、中高生の兄がいる家庭ではアダルトビデオなどの性的コンテンツを見る機会が少なくない」と女性は指摘する。中学2年の長女も、親友から「必ずこのマンガを読んで。感想を聞かせて」と言われ、指定されたアプリでマンガを読んだ。そこには男子同士の性行為が描写されていた。
スマホチェックで気づいた女性が問い詰めると、長女は「怖くなって読むのをやめた」と打ち明けた。女性は、中学生になれば性に興味を持つのは自然で悪いことではないと説明。しかし、同性同士でも相手が不快に思う内容を、悪意がなくても同意なく押し付ける行為は問題だと話し合い、次回からは「興味がない」と言えるようにしようと約束した。
「ネット上で卑猥なマンガが簡単に読める時代。情報が勝手に入り込む。大人が思うより、性情報の入手は低年齢化している」と女性は警鐘を鳴らす。女性は幼い頃からプライベートゾーンについて教えてきたが、自分の子どもだけが知識を持っても守れないと痛感。「学校で平等に一律に教育してほしい。年齢に応じた授業を望む」と要望する。
保護者アンケート:9割近くが学校での性教育を支持
朝日新聞は2025年1~3月、PTA組織を通じて全国の保護者に学校での性教育についてアンケートを実施。37都道府県から2421件の回答を得た。そのうち88%が「学校にもっと性教育に取り組んでほしい」と回答した。
自由回答では、「性に関してどこまでオープンに話せるかは家庭によって大きく異なる」(富山県、50代女性)、「曖昧な情報を得るより、正しい内容を学校で学び知識として身につける方が良い」(長崎県、30代女性)などの声が寄せられた。「子どもと性の問題で不安なこと」(複数回答)では、「子どもがインターネットで性的情報に触れる」「性の教え方が分からない」が上位を占めた。
一方、慎重な意見もあった。広島県の田原岳治さん(46)は、小中高に通う3人の娘がいるが、多忙な教員にさらに負担がかかる懸念を示す。「できれば学校でした方がいいが、現実的に教員が教える形は今は無理」と語った。
学習指導要領の「はどめ規定」と今後の議論
文部科学省の学習指導要領には、性教育に関する「はどめ規定」が存在する。これは、性行為や避妊などについて具体的に教えることを制限するものだ。しかし、アンケートでは「はどめ規定は不要」との回答が7割に上り、教員の負担を懸念する声もあった。現在、文科省では性教育の在り方について議論が進められている。



