茨城・常総市の夜間中学に新入生14人 在留外国人ら「学び直し」の情熱胸に
茨城・常総市の夜間中学に新入生14人 在留外国人ら学び直し

茨城・常総市の夜間中学に新入生14人 在留外国人ら「学び直し」の情熱胸に

茨城県内で唯一の公立夜間中学である常総市立水海道中学校の夜間学級(常総市小山戸町)に、今年も新たな生徒たちが入学した。母国で義務教育を終えることができなかった在留外国人を中心に、14人が「学びたい」「学び直したい」という強い思いを胸に、新たな学びの一歩を踏み出した。

多様な背景を持つ新入生たち

入学式では、新入生を代表してオケチュク里蘭さん(22)=つくば市=が誓いの言葉を述べた。「学べること一つ一つを大切にし、日々を丁寧に積み重ねていきたい」と語る姿に、会場からは温かい拍手が送られた。新入生たちはスーツや民族衣装に身を包み、中にはジーンズとTシャツのカジュアルな装いも見られた。

在校生を代表してパキスタン籍のアヤズさん(19)が日本語と母国語で「この学校は私たちの夢をかなえる場所。一緒に勉強を頑張ろう」と歓迎の挨拶を送り、袖山文広校長は「どんな時も全力でサポートする」と激励した。

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国籍や年齢を超えた学びの場

新入生は17歳から36歳までの男性12人、女性2人で構成され、20代から30代が中心となっている。国籍別ではパキスタンが6人、アフガニスタンが4人と多く、他にイラク、ヨルダン、ネパールが各1人、日本籍はオケチュクさん1人となっている。

居住地では坂東市在住者が9人を占め、中古車やその部品を輸出する業者を営む家族と共に来日したケースが多い。昼間は仕事に就きながら夜間学級に通い、日本の高校進学を目指す生徒も少なくない。

パキスタン・ペシャワル出身のカーン・ズベールさん(20)は「日本に住み続けたいので、大切な日本語を学びたい。日本の高校に行きたい」と語り、学びへの意欲を明かした。

充実したカリキュラムと支援体制

授業は平日の午後5時25分から8時40分まで行われ、昼間の中学校と同様の教科を学ぶ。年齢や国籍による制限はなく、年間5千円の教材費以外は無料で受講できる。

カリキュラムには日本語に重点を置いた授業や体育館での体育、週末を利用した校外学習も含まれ、多様な学習ニーズに対応している。

多文化共生を支える地域の取り組み

常総市は在留外国人の人口比率が昨年6月末時点で県内市町村で最高の12%を超えており、多文化共生が進む地域として知られる。夜間学級は開設時から周辺自治体からも生徒を受け入れており、本年度の3学年計30人のうち坂東市が17人、常総市は9人となっている。

生徒が居住する自治体は人数に応じて運営費を負担し、地域全体で教育機会を支える仕組みが確立されている。

夜間中学の歴史と役割

公立夜間中学は戦後の混乱期、生活困窮などで働かざるを得なかった子どもたちに義務教育の機会を提供する目的で始まった。近年では不登校経験者や日本語を話せない在留外国人らが主な対象となっている。

2017年に教育機会確保法が施行され、国は都道府県や政令指定都市に最低1校の設置を目指す方針を打ち出した。昨年10月現在、全国に62校の夜間中学が存在する。

工場で働く日系ブラジル人やフィリピン人が多い常総市は2020年、多文化共生をさらに推進するため、全国で34番目となる夜間学級を開設した。

オケチュク里蘭さんの決意

中古車や部品の輸出を手がける父親の会社で働くオケチュク里蘭さんは、仕事後に片道30分以上をかけて通学する日々が始まった。「大変とは思わない。学びたい気持ちが強いので」と語る。

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日本で生まれ育ったが、家族の事情でナイジェリアに渡り、内戦の影響で5年間学校に通えなかった経験を持つ。「日本で普通の生活を送りたい」という願いを胸に18歳で日本に戻ったが、倉庫での仕事や家事、病気の弟の世話に追われ、学び直す機会を得られなかった。

「どうすれば将来後悔せずに済むか」と考え、つくば市役所に相談した結果、水海道中の夜間学級を紹介された。「止まっていた時間が再び動き出すような、大きな希望を感じた」と振り返る。

面接を経て夜間学級に入学したオケチュクさんは、日本の高校や大学進学を目指す。「やっとスタートラインに立てた。当たり前に過ごせる日々は決して当然ではなく、感謝するべきもの。だからこの機会を無駄にしない」と誓いを新たにしている。