大阪市内に「EVバスの墓場」が出現 万博シャトルバスがトラブル続発で使用中止に
昨年開催された大阪・関西万博で来場者輸送に活躍したはずの電気自動車(EV)バスが、今や「負のレガシー(遺産)」と化している。大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)が所有する大量のEVバスが、相次ぐ走行トラブルを受けて使用中止となり、大阪市城東区の一角に放置された状態が続いている。
SNSで「EVバスの墓場」と呼ばれる光景
4月中旬、記者が現場を訪れると、大阪メトロの敷地内には100台以上のバスが整然と並んでいた。車体の側面には「Electric Bus」の文字が確認できる。この光景はSNS上で「EVバスの墓場」と呼ばれ、地域住民の間でも話題となっている。
「通るたびに、徐々にバスが増えていったんです」と語るのは、犬の散歩で毎日この場所を通る78歳の女性だ。夫と2人で不思議に思っていたという。「バスに何か問題があったと聞きましたが、なぜこんな所にこんなにたくさん置かれているのか……」と困惑の表情を浮かべた。
万博閉幕後の転用計画が頓挫
大阪メトロは2022年から2024年度にかけて、「EVモーターズ・ジャパン」(北九州市)から計190台のEVバスを購入。万博期間中は、会場と駐車場を結ぶシャトルバス(大型バス115台)、会場内での来場者輸送バス(小型バス35台)、大阪市内を走るオンデマンドバス(超小型バス40台)として運行していた。
当初は万博閉幕後、大阪府内の路線バスなどへの転用を計画していた。しかし、相次ぐ走行トラブルが発生し、今年3月には今後の使用中止を決定。大阪メトロは4月14日、購入代金の返還を販売元に求めていることを明らかにした。
幹部が公の場で経緯を説明
運行トラブルが相次いだEVバスをめぐり、大阪メトロの幹部らが14日、初めて公の場で購入の経緯や今後の対応について説明を行った。詳細な技術的問題や契約内容については、今後の調査と交渉が続けられる見通しだ。
この問題は、大規模イベントにおける環境配慮型交通手段の導入と、その後の持続可能な活用という課題を浮き彫りにしている。EVバスという先進技術を採用しながら、運用面での課題が顕在化した形だ。
地域住民からは、「せっかくのEVバスが使われずにいるのはもったいない」という声も聞かれる。一方で、安全性を最優先にした大阪メトロの判断については、「トラブルが続くなら使用中止は当然」とする意見も根強い。
現在、敷地内に並ぶEVバスの行方は未定のまま。大阪メトロと販売元との交渉の行方に注目が集まっている。この「EVバスの墓場」が、持続可能な交通政策における貴重な教訓となるかどうか、今後の展開が待たれる。



