イタリア・パルマ大学などの研究チームは5日、妊娠した母親があくびをすると、おなかの赤ちゃんもつられてあくびをすることを初めて実験で示したと、科学誌『カレントバイオロジー』に発表した。これまで胎児のあくびは観察されていたが、母親のあくびに同調するかどうかは不明だった。
実験の詳細
研究チームは、妊娠後期の38人の女性を対象に実験を実施。母親に、人のあくびの映像、動きのない顔の映像、単に口を開閉する映像をランダムに見せ、同時に超音波で胎児の口の動きを観察した。その結果、母親があくびをした後に胎児があくびをする割合は83%に達し、偶然の一致を大きく上回った。
同調のタイミングと頻度
母親が映像のあくびにつられるまでの平均時間は85秒で、その後胎児が母親につられるまでの平均時間は90秒と、両者のあくび誘発パターンが類似していた。また、母親のあくびの回数が多いほど胎児のあくびも多い傾向が見られた。
生理学的メカニズム
研究チームは、母親のあくびに伴う腹圧の変化やホルモン分泌の変動を胎児が感じ取り、同調反応を示すと推測している。過去の研究では、胎児は発達の早い段階からあくびを行い、それが神経回路の発達に関係するとの見方がある。また、女性は妊娠中にあくびがうつりやすくなるという報告もある。
社会性への示唆
研究チームは、こうした母親と胎児の同調行動が、出生後に他者と共感したり社会的なつながりを築いたりするための基盤となっている可能性を指摘している。あくびの伝染は人間の共感能力の指標とされており、胎児期からその準備が始まっていることを示唆する。



