日本の廃プラリサイクル、再生は一部で多くは焼却処理 世界の潮流に遅れる現状と課題
廃プラリサイクル、再生は一部で多く焼却 日本の課題

日本の廃プラスチックリサイクル、再生は一部に留まり多くは焼却処理

日常生活に欠かせないプラスチック製品。日本では分別回収が進む一方で、回収された廃プラスチックの多くが実際には焼却処理されている現実がある。原油から製造されるプラスチックの使い捨てを減らし、再生利用を拡大する世界的な潮流の中で、日本のリサイクル体制は大きな課題に直面している。

千葉県の再生プラスチック工場で見る現実

千葉県富津市にあるエム・エム・プラスチックの工場では、家庭などから回収されたプラスチック廃棄物がベルトコンベヤー上を流れ、素材ごとに分別されている。同社は2011年から森村努社長(58)が率いる再生プラスチック業者で、廃プラを再生プラスチック樹脂に加工している。

森村社長は現状をこう説明する。「ポリプロピレンやポリエチレンなど一部の素材にはまだ用途がありますが、その他のプラスチックは再生が難しく、使いづらいのが実情です」

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同社工場では、再生したプラスチック樹脂を建材や園芸用プランターの製造業者に販売したり、物流で使用されるパレットを製造したりしている。年間処理能力は3万6千トンと国内では有数の規模を誇るが、欧州や中国にある20万トンを超える大規模工場と比較すると、かなり小規模と言わざるを得ない。

日本で大規模リサイクル産業が育たない背景

なぜ日本では欧州や中国のような大規模な再生プラスチック産業が発展しないのか。その背景には複数の要因が存在する。

第一に、日本の廃棄物処理システムが焼却を中心に設計されている点が挙げられる。多くの自治体では、廃プラスチックを燃やして発電する「サーマルリサイクル」が主流となっており、素材として再生する「マテリアルリサイクル」への投資が相対的に少ない。

第二に、プラスチックの種類が多様化し、複合素材が増えているため、分別と再生処理が技術的に困難になっている。食べ物の包装材やレジ袋など、実際に回収されるプラスチック廃棄物は多種多様で、純粋な単一素材のみを集めることは現実的に難しい。

第三に、経済的な採算性の問題がある。再生プラスチックの製造コストは新規プラスチック生産と比べて高くなりがちで、品質面でも課題が残る場合が多い。企業にとってはコスト競争力のある新規素材を選択する傾向が強く、再生プラスチックの需要が安定しない。

世界のリサイクル潮流と日本の立ち位置

国際的には、プラスチックの使い捨てを減らし、循環型経済(サーキュラーエコノミー)への移行が加速している。欧州連合(EU)では使い捨てプラスチック製品の規制を強化し、リサイクル率の向上を図っている。中国もかつては「世界のごみ捨て場」と呼ばれたが、現在は輸入規制を強化し、国内のリサイクル産業育成に力を入れている。

これに対し日本では、2022年にプラスチック資源循環促進法が施行されたものの、実効性のあるリサイクルシステムの構築には至っていない。多くの廃プラスチックが依然として焼却処理され、再生利用は限定的な状況が続いている。

今後の課題と展望

2026年以降、日本のプラスチックリサイクルには以下の課題が待ち受けている。

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  1. 技術革新の必要性:複合素材の分離技術や、品質の高い再生プラスチックを製造する技術の開発が急務。
  2. 制度設計の見直し:焼却中心から再生利用中心への政策転換と、経済的インセンティブの導入。
  3. 消費者意識の変化:再生プラスチック製品への理解と需要の創出。
  4. 国際協調:アジア太平洋地域での廃プラスチック問題への共同対応。

エム・エム・プラスチックのような国内企業は、熱を加えて麺状に伸ばした廃プラスチックを細かく刻み、再生原料のペレットに加工する工程を確立している。しかし、こうした取り組みが産業全体に広がるには、さらなる投資と政策的支援が必要だ。

プラスチック廃棄物問題は、単なるごみ処理の問題ではなく、資源循環と持続可能な社会づくりの核心的な課題である。日本が世界のリサイクル潮流に取り残されないためには、官民一体となった抜本的な改革が求められている。